私は全滅した月を見つめながら、ゆっくりと呼吸を整えた。誇りも希望も、境界も理念も、どれほど語ろうと結局は争いの口実にすぎず、その実態は破滅へ向かう習性に等しい。住民たちが消えたあとに残った静けさは美しく、残酷で、どこか心を安らげる奇妙な平衡を帯びていた。私は瞼を閉じ、再び眠りへ沈んだ。彼らの終焉は悲劇ではなく、むしろ世界そのものが繰り返してきた皮肉の縮図だった。夢か現実か分からぬまま、私はそのまま静かに眠った。#朧月の寓話