午前中に、洗濯をし、掃除機をかける。舞い上がる埃も、どこか懐かしい匂いがした。シーツを張り替え、クッションをぽんと叩く。整えられた室内に、静かな光が差し込む。さっき干したシャツが、風に揺れる音を聴く。ただ、空と音と、整った部屋の中にいる。雲ひとつない青い空。鳥の声、風の音、ときどき揚羽蝶が舞う。輝きと陰、葉の音。ただただ、美しい。玄関横に咲くアガパンサス。すっと背筋を伸ばしたような、薄紫の花。和名は「紫君子蘭」だって。あなたは、どちらの名前が好き?風の中ではアガパンサス。影の中では紫君子蘭。どちらも、この花が持つふたつの時間の名前。あなたの薄紫色は、凛として気高い。そんな色をしているね。ありがとう。お茶を点てる。湯の沸く音。こぽこぽと、柄杓で汲む音。湯を注ぐ音。耳を澄ませていると、やがて抹茶の香りが、部屋を満たしていく。今日のお茶菓子は、水無月。氷に見立てた白いういろうに、小豆が浮かぶ。冷たくはないけれど、口に入れると涼しさが広がる。やさしい甘さが、ゆっくりと身体に満ちていく。#日曜日の贅沢