「じゃあ、またね」あの日持って帰ったライターで煙草に火をつける。煙で前が見えなくなった。換気扇の音、消えた。部屋に残った缶ビール。干した下着がうなだれた私に――見えた。空が嫌いだ。あの人まで続く空が嫌い。空は繋がってるのに、私はあの人にもう会えない。弱めの冷房に揺れた前髪が、あの夏を何度も思い出させる。下を向いて歩く。空が目に入らないように。一緒に見上げた空。笑いあった日。「きれいだね」と分かち合う君はもういない。今日も足元を見ていた、変わらない風景だ。空がすきだった。空がすきだった自分に戻りたい。空がすきなあなたと、いつか空を見上げたい。さよならって言えた気がしたんだ。あの日の私と変わらない私に、もういいんだよ。許して——それから、ねむるまちに行こう。ねむるまちに行こうよ。もういいよ。疲れたよ。じゃあ、またね。#ねむるまち#新しい空の下 #songtostory#ことばりうむの星#音楽と言葉イベント