『コンクラーベ(教皇選出会議)』は確かに面白い作品だった。ただ、見終わった後も、回収されずに残っている伏線がいくつかあるような気がしてならない。主人公のトマス・ローレンス枢機卿が、なぜあれほど深く信仰を揺るがされることになったのか。その具体的な過去——どんな事件があったのか、どんな人間関係が彼を変えたのか——そういったことがほとんど描かれていない。それから、作品の中で象徴的に用いられていた光や外気を思わせる「外からの不安定要素」としての爆弾。あれは一体、誰の意図によるものだったのだろうか?まだ完全には理解できていない部分が多いのだけれど、レイフ・ファインズが演じたローレンス枢機卿の演技には心を打たれた。息遣いひとつ、表情ひとつで内面を語る、その繊細な表現力は本当に素晴らしかった。そして、スタンリー・トゥッチが演じたベリーニ枢機卿の気高さ。序盤から後半にかけて、まさに「魔が差した」としか言いようのない変容を見せるのだが、そこに表現された「人間の弱さ」は実に見事だったと思う。#ブライムビデオ #教皇裁判 #映画