《合作作品》@モ! ×あお「ポケットの中の獣」(モ!)ベランダだけが僕の世界黒い手すりより、なお黒い空頼りない星の下には鬱陶しい人々の光涼風が抑え込むように渦を巻くたなびく衣服の音は少しうるさい血が欲しい新月の日のゾッとする雲の色渇きに舌が唇を薙ぐ血が欲しいただ匂いだけは隠せない夜にこんなにも僕は血が欲しい(あお)あなたが望むなら 私の血をすべてあげよう灯りをすべて落とした部屋のなかあなたの息遣いだけが 夜の形をしている涼しすぎる風が あなたの渇きに拍車をかけるなら私の鼓動を ゆっくり差し出そう頬を切るような月のない夜に指先で私を裂いてくれていいどうかその黒い空を 私で満たしてこの身の奥に棲む 静かな火があなたの獣に焼かれるならそれが救いだと 私は知っている匂いだけは隠せない夜の底であなたがいる限り私は 惜しまない(モ!)貪りたくなる衝動と跪きたくなる懺悔の狭間に 美しき君の覚悟を見た挑発にも似た挺身に 獣は驚き身をすくませる。闇の中に隠れる場所を探すように蝋燭の白日の中 ミルク色にしなだれた若き娘は ガーゴイルのように動かなかった薄い琥珀の飴細工に似た 髪が僅かに束を離れる 呼吸はか弱き炎さえ揺らさず、しかしそのナイフの様な両の眼は 獣の心臓に突き立てられていた闇の中で淡く鼓動する 桃色のうなじに獣の牙は長く苛立つ太陽よ今すぐ忌まわしき窓から顔を出し 彼の女を照らすがいい我が体を焼き尽くし 英雄となれ獣は思う なぜ僕が汗をかくのかなぜ僕が震えているのか なぜ僕が怯えているのかと(あお)いかないでどうか怯えないであなたのままでいいあなたのやさしさの そばにいたいこれが 私の願い叶わないならせめて あなたの夢のなかで静かに 花瓶の水になりたい何も問わず 何も濁さずあなたが渇いたときにだけ そっと傍にあるような悲しみがあなたを追い詰めた夜には私の記憶が 月明かりにひらくカーテンでありますようにいかないで奪わなくていい優しさを守るために 私を壊してもいいそれでもあなたがあなたのままでいてくれるのなら私は泣いたりしない(モ!)獣は手を差し出した見慣れた鋭い爪に僅かな逡巡を見せながら暖かい手が迎えてくれた獣はその手をゆっくりと引き寄せ華奢な手の甲に優しくキスをした牙で傷つけない様に気をつけながらどうかこの夜が末長く続きますように星々は邪魔をしない様に いつもより少しだけ黒く黙り込むのでした#愛のかたち#投稿とコメント#ことばりうむの星#響き合う声たちイベント#自由合作アンサンブル𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸🎼編集後記🎼(モ!)この作品は初め何の気なしに書いたものでしたところが、あおさんがこの作品を高く評価してくれたのか斬撃のような鋭い返歌がコメント欄に返ってきましたあおさんの返歌を見た時汗が出たのを覚えてます皆さんも読んでわかる通り、女性パートの熱量がすごいのです汗をかきながら返歌の返歌を書いたところまたあおさんの白刃がキラリ、命からがら一寸後ろに引いてまたなんとか作品を返した事を今でも覚えてますいやあ、あの時のあおさんは怖かったw(あお)モ!さんの物語にコメントで「続きの物語」を書いた中で、おそらく唯一“愛”を描いたのがこの作品かもしれません。私はこの作品がだいすきです。(怖がられてたことを今知ったw)まだ、モ!さんが恋愛でポンコツになることを知らない頃に書いた作品だと思います。貴重な作品です♪いかがでしたか?