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みおこんぼ

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#GRAVITY百物語
#怖い話苦手な方はスルーしてください

「旧トンネル」②

自転車を漕ぐ足にも力が入ります。横には車も、朝の通勤時間だからでしょうか、沢山通っています。そう、沢山…。
半分ほど来た時、私は唐突に、違和感の正体に気づいてしまいました。

嘘。
なんで。
なんでこんなに車が走ってるのに……音がしないの?

気づいてしまいました。トンネルに入った時から、一切音が聞こえていないことに。
(駄目だ、気付いてないフリをしなければならない!)何故か、その時強くそう思いました。そして出口を目指して一心不乱にペダルを漕ぎました。
ハッとしたのは、その時です。
(あの女性の、電話をしている音も聞こえない…)
もしかしたら、女性も音がしないことに気付いて慌てて電話を?
つい、そちらを…女性の方を、目視してしまいました。
遠目から、電話をかけているように見えたその女性は、違ったのです。
電話をかけているのではなく、あれは……。
(血まみれで、半分崩れた顔を、おさえながら歩いているんだ。)
女性と、目が、合った気がしました。
私はもう、無我夢中でペダルを漕ぎます。
(気付いてない!気付いてない!私は何も気付いてない!!)心の中で叫びながら、目を閉じて漕ぎました。

トンネルを抜けた瞬間。
一気に音の洪水が押し寄せたのを覚えています。
(戻った…)
震える足で自転車を漕ぎ、そのまま学校へ向かいました。遅刻せずに行けたかどうかは覚えていません。
それからは、もう2度と、「旧トンネル」には入りませんでした。

これは私の実話です。

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