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みおこんぼ
#怖い話苦手な方はスルーしてください
「旧トンネル」②
自転車を漕ぐ足にも力が入ります。横には車も、朝の通勤時間だからでしょうか、沢山通っています。そう、沢山…。
半分ほど来た時、私は唐突に、違和感の正体に気づいてしまいました。
嘘。
なんで。
なんでこんなに車が走ってるのに……音がしないの?
気づいてしまいました。トンネルに入った時から、一切音が聞こえていないことに。
(駄目だ、気付いてないフリをしなければならない!)何故か、その時強くそう思いました。そして出口を目指して一心不乱にペダルを漕ぎました。
ハッとしたのは、その時です。
(あの女性の、電話をしている音も聞こえない…)
もしかしたら、女性も音がしないことに気付いて慌てて電話を?
つい、そちらを…女性の方を、目視してしまいました。
遠目から、電話をかけているように見えたその女性は、違ったのです。
電話をかけているのではなく、あれは……。
(血まみれで、半分崩れた顔を、おさえながら歩いているんだ。)
女性と、目が、合った気がしました。
私はもう、無我夢中でペダルを漕ぎます。
(気付いてない!気付いてない!私は何も気付いてない!!)心の中で叫びながら、目を閉じて漕ぎました。
トンネルを抜けた瞬間。
一気に音の洪水が押し寄せたのを覚えています。
(戻った…)
震える足で自転車を漕ぎ、そのまま学校へ向かいました。遅刻せずに行けたかどうかは覚えていません。
それからは、もう2度と、「旧トンネル」には入りませんでした。
これは私の実話です。
#怖い話
#怪談
#怖い話需要あるかなぁ


みおこんぼ
#怖い話苦手な方はスルーしてください
「旧トンネル」①
私が高校生だった時のお話。
その時は富山県に住んでいて、街外れの田舎にいたものですから、登下校は自転車で片道40分と長い道のりでした。
当時、通学路となっていた道に、そのトンネルはありました。
老朽化が進んだため、近くに新しいトンネルができて、将来的に取り壊しの決まったそのトンネルは、学生の間で「旧トンネル」と呼ばれていました。
「旧トンネル」は、心霊スポットとして有名でした。「あのトンネルの前にある電話ボックスに、女の幽霊が出る」と噂になっており、そういった場所には近付かないことを信条としていた私には、縁のない場所でした。少し遠くはなりますが、新トンネルを抜ければいいのですから、使う必要のないトンネルでした。そう、あの時までは。
その日私は、珍しく寝坊してしまいました。当番の仕事がありましたので、急がねばなりません。よく晴れた朝だったので、安心感があったのでしょう。やむを得ず「旧トンネル」を通ることにしました。
噂の電話ボックスは見ないようにして、トンネルに入ります。入った時、何か違和感を感じました。でも、何なのかわかりませんでした。向かい側には遠くからこちらに、電話(当時はまだ、二つ折りの携帯電話が主流でした)をしながら歩いている女性が見えました。
(あ、良かった、私以外に人がいる!)と、心の中ですこし安心しました。トンネルは長く、直線で、抜けるまで2分ほどかかります。長く暗いトンネルは、やはり心細かったのです。
#怖い話
#2に続く
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