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ふってぃ@📖´-

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-旅から帰ってきて思うのは、まず「疲れた」ということ。充実したとか、リフレッシュしたとか、存分にたのしんだとか、そういった肯定的な感想は出てこず、「疲れた」のみ。慣れないことをやっているから疲れるのだ。
 じゃあなんで旅に出るの?と、人にはよく訊かれるが、たぶん、あの旅がはじまったときの開放的な、目覚めのような瞬間が、慣れない幾多のことを遙かに上まわって魅力的だからだ。そしてその終わった旅のよさというのは、疲れが抜けきってからようやくじわじわとあらわれてくる。ときどき、旅から帰って半年後、「すばらしい旅だった」と思うこともある。旅のはじまりも遅いが、旅の終わりもまた、私はうんと遅いようである。-

《世界中で迷子になって》-角田光代-
(小学館文庫)
#小説切り抜き #今日の小説 #角田光代 #読書 #GRAVITY朗読部
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-花園には、いろいろの花が、いまをさかりと咲いていました。ひるまは、そこに、ちょうや、みつばちが集まっていて、にぎやかでありましたけれど、いまは、葉かげでたのしいゆめをみながらやすんでいるとみえて、まったくしずかでした。ただ水のように月の青白い光が流れていました。あちらのかきねには、白い野ばらの花が、こんもりとかたまって、雪のように咲いています。
「娘はどこへ行った?」と、おばあさんは、ふいに、立ちどまってふりむきました。あとからついてきた少女は、いつのまにか、どこへすがたを消したものか、足音もなく見えなくなってしまいました。
「みんなおやすみ、どれ私もねよう。」と、おばあさんはいって、家の中へはいって行きました。
 ほんとうに、いい月夜でした。-
《月夜とめがね》小川未明(青空文庫)
#小説切り抜き #朗読界隈 #青空文庫 #朗読の星 #朗読
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-「セルゲイや、わしはこれをみていると、海の上でみたお星さまを思い出すよ。いつも北の方に光っていた、北極星のことをね。そうだ、おまえが大きくなってから、どんないいものをお爺さんにおくってくれたとしても、きっと、これには及ばないだろうよ。」-
《海からきた卵》塚原健二郎(青空文庫)
#小説切り抜き #青空文庫 #今日の文学 #読書好き #朗読界隈
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――何かしら、二人の間に前世の約束とでも云った風の引懸りがある様な気がしていた。そして、日が経ふるにつれて、段々その感じが深くなって行った。でなければ、宿も違い、身分も違う二人が、僅か数日の間にこんなに親しくなる筈がないと井原氏は思った。
「どうも不思議だ。この男の顔は確かどこかで見たことがある」併しどう考えて見ても少しも思い出せなかった。「ひょっとしたら、この男と俺とは、ずっとずっと昔の、例えば、物心のつかぬ子供の時分の遊び友達ででもあったのではあるまいか」そんな風に思えば、そうとも考えられるのだった。
「いや、さぞかし面白いお話が伺えることでしょう。そういえば、今日は何だか昔を思い出す様な日和ひよりではありませんか」
 斎藤氏は促す様に云った。-
《ニ癈人》-江戸川乱歩-(青空文庫)
#今日の文学 #青空文庫 #小説切り抜き #江戸川乱歩
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-何があんな花弁を作り、何があんな蕊(しべ)を作っているのか、俺は毛根の吸いあげる水晶のような液が、静かな行列を作って、維管束のなかを夢のようにあがってゆくのが見えるようだ。-
《桜の樹の下には》-梶井基次郎-(青空文庫)
#青空文庫 #小説切り抜き
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-されば今、かかる実なき学問はまず次にし、もっぱら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり。たとえば、いろは四十七文字を習い、手紙の文言(もんごん)、帳合いの仕方、算盤(そろばん)の稽古、天秤(てんびん)の取扱い等を心得、なおまた進んで学ぶべき箇条ははなはだ多し。地理学とは日本国中はもちろん世界万国の風土(ふうど)道案内なり。究理学とは天地万物の性質を見て、その働きを知る学問なり。歴史とは年代記のくわしきものにて万国古今の有様を詮索する書物なり。経済学とは一身一家の世帯より天下の世帯を説きたるものなり。修身学とは身の行ないを修め、人に交わり、この世を渡るべき天然の道理を述べたるものなり。-《学問のすすめ》-福沢諭吉-(青空文庫)#今日の文学 #青空文庫 #小説切り抜き #朗読界隈 #読書好き
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