"民がわが父母である"米沢藩主 上杉鷹山の言葉です財政窮乏の中鷹山が真っ先に行ったのは倹約でも産業振興でもありません民こそが国の基であるという揺るぎない価値観の確立でした彼は為政者を父母である民を養う子の立場に置き直したのですここにリーダーシップの核心がありますでは人を父母と見るとはどういうことか…それは上から慈しむ施しではなく自らの根源をなすものへの畏敬なのです民の苦しみを我がこととして感じその暮らしが立たなければ自らの存在意義もないと考えました民を"手段"ではなく目的としたこの思想は単なる温情主義ではない鷹山は民にただ米を配るのではなく自ら立ち上がる力を与えるために技術を教え 学ぶ場を設けました"人を活かすことこそが国を活かす" という確信があったからです苦しんでいる人を救うのは当然だしかし真の慈愛はその人が自らの尊厳と力に気づき未来を切り拓けるようにすることなのですこれは現代の私たちにも通じます人を大切にするとは甘やかすことでも支配することでもないその人が持つ生きる力を信じ引き出し 共に大地を踏みしめて歩く姿勢ではないでしょうか鷹山が教えるのは慈愛とは決して上からの視線ではなく共に生きる者同士の深く静かな共鳴なのです#童門冬二#小説上杉鷹山