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べな🐦🔥
心ここに在らず。散る花びらは窓の外。
いつもの音楽は耳を滑り。壁にしみをつくる。
言葉を失い、無の感情の手を取る。
陽は傾く。暑さは蚊帳の外。
ガラスのコップは汗をかき、指を湿らせた。
中身は何だったか、忘れた。
誰のためでも無い、お湯を沸かし。茶葉に注ぎ。
移りゆく景色と紅茶の色を重ねて眺め。
薄曇りの空に憂鬱さを預ける。
一杯になったゴミ箱。片付けるには億劫。
惰性でこなす一日一日。
大事なものなんてない。
割れたガラスを紙に包んだ。
今日という日は記憶に残らない。
ただ踏み外さずに歩んで来た過去となる。
何日経ったかも忘れた。
何も抱えていなくても。何かを失っても。
動かない心はそっと毛布で温め直して。
夢でまた今日を忘れる。
#小さなものがたり
#ss


べな🐦🔥
魂という括りが
僕と君を繋ぐが
並みの感情が湧いて
Thorn Haloは黒に染まった
背中越しの体温は
徐々に冷えて逝くが
並みの感情は燃えて
背の翅は灰に消え去った
生命は棘に守られて
忘れられた涙が乾いた頃
互いを互いで塗り潰し
残った色は赤と青
互いの血で交わした杯は
互いの身体を作り変える
君のことは嫌いじゃないが
僕は僕が大事なんだ
気持ちの残骸に気付いても
見て見ぬふりをするんだ
半身という括りが
君と僕を繋ぐが
激の情に流されて
Thorn Haloを断ち切った
一体化した腕は
千切れ解けていくが
激の情に絆され
中途半端に繋がったまま
声明は誰かに届くか
覚えられた言葉が潰えた頃
互いを互いで縛り合い
残った愛は絡まった
互いの臓腑を戴せた杯は
どれが僕だか分からない
君のことは何でもわかる
自分のことがわからない
伸ばした手はどちらのものか
結局無視をしたんだ
君と僕の互いが違えても
今日という日は変わらない
ふたりを棘でくっつけて
おいて行かれないように
ふたりは永遠に同じシーンに留まる
それがお決まりの焼け切ったドラマ
奇跡も無いし希望もない
そんなふたり
天秤よどうか傾いてくれ
#ss
#小さなものがたり

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べな🐦🔥
雫の残る茨の影に振り返った
目下のほんの彼方に百合の花が浮かんで
秒針に洗われた後の地面に映る自分の姿に嫌気が差す
虹が告げる再会と決別
友よ、私は死にました
どうか空から見下ろして
私はいない世界を
会えると思っていた時期もありました
何処にもあなたはいませんでした
それが切れた縁というものなのでしょうか
頬の轍に蹴る小石
のせる言葉は“確かに好きでした”
事実と虚妄に傷められた葉書は旋風に舞い上がった
虫の音が聞こえない夢に
友よ、あなたは愛でした
微笑みあった日常に隠れて
あなたのいない未来を
歩めると思った道はありませんでした
当たり前にあなたとはぐれました
それが因果応報というものなのでしょうか
ある晴れた日に空が落ちてきて
物陰からあなたをみた気がしましたが
目を開くと泣いていました
ああ、初恋は叶わないといったっけ
友よ、私は死にました
友よ、あなたは愛でした
与えられた当たり前を
大事にしすぎた罪を
捨てるべきだったものへの執着を
どうか許してほしい
そして、私は死にました
そして、お空に溶けました
空でも会えなかったあなたへ贈ります
#小さなものがたり
#ss


べな🐦🔥
夕暮れの公園
子供たちの声が静まる
真っ暗な木陰に身を潜めてる
君は夜のおばけの子
(もういいかい?)
(もういいかい?)
(もういいかい?)
(もういいかい?)
ある日僕は家を出たんだ
夕暮れの公園
真っ暗な影に怯えてたら
そっと僕を見つめる2つの目
怖くて僕は泣いちゃった
(もういいかい?)
耳にささやく小さな声
(もういいかい?)
君は僕と同じだった
(もういいかい?)
おうちに帰れないふたりの子
(もういいかい?)
とっても気まずいふたりの子
ひとりでかくれんぼをしてる
可愛いおさげの女の子
誰も彼もがいなくなって
ちょっぴり涙のお目目の子
(もういいかい?)
(もういいかい?)
(もういいかい?)
(もういいかい?)
少し離れて見てみたよ
かくれんぼは苦手だったけど
僕は勇気を出したんだ
ジャングルジムに登ってさ
「もういいよ」って言ったんだ
(もういいよ!)
可愛いおさげの女の子
(もういいよ!)
木陰を飛び出し跳びはねた
(もういいよ!)
かけっこ早いね女の子
(もういいよ!)
そうしてどこかに消えちゃった
ひとりでかくれんぼをしてる
可愛いおかっぱ男の子
誰も彼もがいなくなって
ちょっぴり涙のお目目の子
(もういいよ!)
(もういいよ!)
(もういいよ!)
(もういいよ!)
#小さなものがたり
#ss


べな🐦🔥
明るい太陽を見た。
ガラス越しに私を刺す熱は瞳を通して脳を焼くようで。
私は浅瀬を泳ぐ魚。
この人生は山も谷もない。風もない。
ただただ転がったびいどろから落ちた光を追いかけた。
これは愛。
これは愛。
これは執着だった。
記憶は秋の森の中。
目の前を舞う思い出は熱を失った。
掌で粉になる彼だったものは吹きかけた息で飛んだ。
私は浅瀬を泳ぐ魚。
眠りの下を泳ぐ凍えた魚。
ただただ転がったびいどろから溢れた色を追いかけた。
これは愛。
これは愛。
これは望みだった。
彼は望みだった。
#ss
#小さなものがたり


べな🐦🔥
ああ、どうかその光よ。そうだ。君だ。
ナニモノにも染まらず、ナニモノにも変わらず。
代えの効かない君だ。
何も感じないであろう心が震える理由を、今。
僕がその原因である事を認めるんだ。
それは十分に耐えた。
もう君を刺すモノは居ない。
だからどうか。
どうであろうか。
毒を浄化するように。
僕を喰らってはくれないか。
#ss
#小さなものがたり


べな🐦🔥
ほらもう目が閉じる時間だ。
カラスをバカにしたフクロウが、
嘆きの詩を月に聴かせている。
夜に起きているのは太陽に嫌われたものだけ。
月はそれらを慈しむ。
支度をしなくては。
日の出と共に目を開き、祝福を。
寄り添う温もりは無くとも。
安寧は直ぐ側に。
かくあれかし。
#小さなものがたり
#ss


べな🐦🔥
見慣れない景色。
虹色の空。不思議なかたちの雲。青青と茂った山並み。
――其処にはあった。
見慣れない風景。
歪な形の建物。妙に目立つ塔。小さく見える乗り物のようなもの。
――其処にはあった。
見慣れない光景。
言葉の分からない他人。変な鳴き声の鳥。聞こえるはずの無いさざ波の音。
――其処にはあった。
見慣れない情景。
少しも瞬かない星星。それを反射する足元の湖面。流れる涙。貴方の声。
すべてがあった。
私以外のすべてが。
死後の世界が在るならば、そこで貴方に会えるならば。
この夢は実在しないのだろう。
夢は夢で、真実は真実。
この旅の終わりに見た夢が死後の世界ならば。
私は、すべてを見て、知ってきたのだろう。
これ以上知ることは無い程に。
天を仰ぐ。
其処には何も無い。
残された寿命もあと僅か。
やがて私はすべてを忘れるのだろう。
今迄見てきたすべてを。
これは返上である。
人生とは借り物。
そうして最後に魂を返すのだ。
物語の最期には何がある?
貴方の最期には何が見えた?
私は貴方が視えました。
終焉に寄り添った手よりも。
貴方が。私には視えました。
#小さなものがたり
#ss

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参加

べな🐦🔥
ただ能能と何者かを演じながら生き長らえる。
模倣品でさえ生きることが許されるこの時代に。
どうして何者でもないただ唯一の自分が生きられないというのだろう。
土の上であろうと。
布の上であろうと。
文字の上であろうと。
色の上であろうと。
夢の中であろうと。
仮想的であろうと。
現実的であろうと。
人の上であろうと。下であろうと。
どこで生きていたってどうしたって存在を模ってしまうのだから。
それは十分に。
この言語豊かな国では十分すぎるほどに。
生きていると言っても過言では無いんだから。
羨む事なんか何一つ無いんだ。
誰も届かない好きな場所で生きて居るだけで自分は殺されないんだから。
自分の体には重すぎる業を背負っていたって。
その度に切れない紐で全身を縛られようとも。
この世界に在るだけでどうにでも踊れるんだから。
#小さなものがたり
#ss

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