ある日 貧しい靴屋のもとへ天使が現れましたボロを纏った乞食の姿になって…靴屋は乞食を見て言います「私は朝から晩まで働いているが 家族を食わせるにも困っている ワシは何も持ってないよ あるのはガラクタばかりだ… みんなそうだ ワシに何か恵んでくれと言うが 何かをくれた人などいやしない…」乞食は答えました"じゃあ私が何かあげましょう"靴屋は冗談まじりに答えました「ああ じゃ百万円くれるかい」"では百万円差し上げましょうただし 条件が１つあります代わりにあなたの足を私にください"「何！？冗談じゃない！ この足がなければ立つ事も 歩く事もできやしないんだ たった百万円で足をやれるか」乞食は続けて言いました"では 一千万円あげますからその代わり あなたの腕をください"「一千万円？この腕がなければ 仕事もできなくなるし 可愛い 子どもたちの頭も撫でてやれない たった一千万円で腕をやれるか」乞食はまた口を開きました"じゃあ一億円あげましょうその代わり あなたの目をください"「一億円！？この目がなければ この世界の素晴らしい景色も 女房や子どもたちの笑顔すら 見る事ができなくなる 一億円ごときで目をやれるか」すると乞食は靴屋をみつめて言いました"そうですか…あなたはさっき何も持っていないと嘆いていましたが本当は大金にも代えられないとても価値あるものを沢山お持ちですねしかも それらは全部もらったものでしょ"靴屋は何も答える事ができませんしばらく目を閉じ考えこみましたそして 深くうなずくと心に温かな風が吹いたように感じましたもう乞食はどこにもいませんでした#天使の乞食
