#楽しく分かる万葉集 14 / 大伴旅人「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。【口語訳】※本とは異なる訳にしていますわが庭に梅の花が散っている。まるで、はるかな空から雪が流れ落ちてくるかのようだ。梅の花びらが白い雪のように舞い散る様子を、「天から流れ落ちる雪」にたとえた、華やかで視覚的な歌です。この時代は、白梅だけで、紅梅はありませんでしたので、梅の花といえば白でした。歌の作者は大伴旅人(おおとものたびと)です。飛鳥時代末から奈良時代に活躍した公卿で、大伴安麻呂の子、家持の父にあたります。官位は従二位・大納言で、漢詩にも通じた教養人として朝廷文化を体現しました。この歌の「雪が流れる」というのは、和歌には馴染まない表現であり、おそらくこの表現は、中国の六朝詩文に見られる「雪の流れ落ちる」イメージを借用し、梅の白い花びらが天から雪のように舞い散る様子を視覚的に描いたものと思われます。万葉集での位置づけ万葉集には旅人の作とされる歌が70首余り収められ、多くは大宰帥として太宰府に赴任していた晩年期の作です。息子の大伴家持が万葉集最終編成に深く関わったとされ、その中で旅人の作品も体系的に収録されています。#万葉集 #大伴旅人