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骸鳥(工作員)
職場にいる
朝イチでちょっとした仕事をこなし
しばしの休憩時間を堪能している
ふと気になった
今朝は
玄関脇のやさぐれレバーを
ちゃんと7.58に合わせてから
家を出ただろうか?
いま右足に履いている靴は
ムラタ式礼拝で祈りを捧げてから
足を突っ込んだだろうか?
そもそも朝食の時
火曜日専用の『ぐるぐるまだら茶碗』で
メシを食っただろうか?
二度寝の前の一服で
『寒いもの、丸い物、煙たい物の喜びです』
と唱えただろうか?
…………わからない
取り返しのつかない火曜日になるかも知れない

骸鳥(工作員)
休日出勤…とも言えないイレギュラーな出社
普段は騒がしい職場にオレ一人
こういう時は
慣れ親しんだ場所がいつもと違う風景に見えて
いつもと違う何かが起こるような
自分の知らない何かに出会うような
そんな気分になる
吉兆なのか凶兆なのかわからないが
良い方に転ぶと信じて
何かをしてみようと思う
気まぐれに河原にでも行って
キレイな石ころでも見つけられたら…
そんな休日

骸鳥(工作員)
二枚貝の中から出てきたのは
二枚舌の二枚目野郎だった
三枚におろしてやろうかと思ったが
相手の方が一枚上手で
二枚蹴りであっさりと投げられた

骸鳥(工作員)
青と白の
やたらトゲトゲしたデザインのスプレー缶を
じっと眺めている
実に攻撃的な意匠だ
イメージ的には赤や黄を基調とする方が攻撃的な感じもするが、そこをあえて青と白にすることでケミカルな印象を推し出しているように思える
そして商品名とロゴを控えめな赤にして際立たせることによって、長く愛されることに成功していると思う
ロゴもまたいい
変にリアルなニワトリの横顔
雄々しくそそり立つトサカが実に見事だ
某・ホームセンターや某・スポーツブランドのロゴにもニワトリが使用されているが
ここまであからさまなニワトリではない
そのあたりにもコダワリを感じる
少しずつ暖かさを増してゆくこの時季
今はまだお世話になることもないが
あと数ヶ月もすればコイツを片手にプシュッとひと吹き…という季節になるのだ


骸鳥(工作員)
窓の外を眺めている猫を
ヨーグルトを食べながら眺めているオレを
プロジェクトXを見ながら眺めているカミさん
どこも欠けていない
なにも余計な物のない
つるんと丸く完璧な朝

骸鳥(工作員)
抜け落ちた猫の毛が
手のひらにのっている
じっと見ていたら
どんどん重くなって
持っていられないくらいなのに
手を動かすこともできない
手のひらに穴が空いてしまう
気は焦るばかりだ
そうしているうちに
何かの音が聞こえてきた
ドラムのハイハットを
弱く弱く叩くような
『チッ…』という音
断続的に聞こえてくる
その音が1回鳴るたびに
猫の毛が重さを増す
もうだめだ
穴が空く

骸鳥(工作員)
早く起きてしまったので
なんとなくタバコなどを吸って
なんとなくギターを弾いて
なんとなく石ころなど見つめて
なんとなく寝転んだ
なんとなく小腹が空いた気分になったので
なんとなく団子を一本食べた

骸鳥(工作員)
きのうは
はやくねてしまったので
もっとおきていたかったなあとおもいました
ほんとうはもっとよふかししたかったけれど
なぜかねてしまいました
りゆうはわからないけれど
きっとつかれていたのだとおもいました
きのうはやくねたので
つかれはかいふくしたとおもいます
やくそうとかぽーしょんとかが
あればいいのになといったら
★※○↔▽が
くだらないことをいってないではたらけ
といってきたので
ちいさくまるめてやりました

骸鳥(工作員)
昨日のあんドーナツは少し油っこくて
ぼかぁ、いささか辟易してしまったよ
そんな時にいつも思うのは…
あぁ…幼稚園で仲良しだった
シンちゃんは
あの後でちゃんとでんこでんこ回りが
できるようになったのかなぁ…?
…という事だ
あぁ…今日も1日がはじまる
階段横のやさぐれレバーを
きっかり3.6に合わせなきゃ
ズボンは正確に75度の角度で
左脚の小指側から履かなきゃ
ぼかぁ、憂鬱な気分で
玄関の扉を転がした
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