帰路につく頃、冷気はクラリネットの弱奏のように肺を透過し、思索を透明に変質させた。歩いた道は楽章の旋律であり、立ち止まった瞬間はカデンツァの休止符であった。星々は鋭い高音のトランペットとして夜空を裂き、短調の郷愁と長調の歓喜を同時に響かせた。私はその二つの和声を矛盾のまま抱きしめ、夜という交響曲の終止和音を心に刻んで足を止めた。#夜の散歩道