『愚痴』その②急遽臨店するが、引き継ぎされていないので右も左も分からない。それでも、お客様はいらっしゃる。とにかく、残された人員でやり切るしかない。しかしこの時期、ベテランスタッフが就職などの事由により卒業という事情も重なる。シンプルに、マンパワーが足りない。だがしかし、やるしかない。小さなトラブル、クレームは随時発生。その度に謝罪、リカバリー。さらに発生するダブルブッキング。状況は最悪だが、ピンチはチャンスでもある。限られた席数、配置、組み合わせというロジックを読み解き、奇跡的に空間確保。『狭い席ですみませんお客様!』『いやいや、大変だったろうに、席作ってくれただけありがたいよ』『ありがたいお言葉ありがとうございます!このあとも頑張らせて頂きます!ホントに狭い席ですみません!』『大丈夫、大丈夫』『狭い分、絆は深まると思います!』お客様に笑顔がこぼれる。そんなこんなで2週間。毎日、定時に帰宅出来ず。疲労蓄積。それでもまた、『今日』はやってくる。辞めた2人の元社員。彼らは『自信家』であったが故に、理論武装を怠らなかった。しかしその弊害として社員間のコミュニケーションにはズレが生じ、結論としてヘルプ派遣に影響していた。そして臨店してみて改めて思う。全店共通であるはずのマニュアルがことごとく違う。その店独自のアレンジ。『自信家』、故に。そのプライドを護るための、退職だったのだろうか。真実は闇の中だが、1人のアルバイトさんがつぶやく。『前の店長、僕らにすごく厳しかったんです。なのにご自身は、ああいう辞め方されるんだなーって』彼の、失笑じみた横顔が、社員という立場として辛かった。#回り回って小さな幸せ