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読書しました。
ローマ五賢帝
「輝ける世紀」の虚像と実像
南川高志 著
講談社学術文庫
紀元96年に老帝ネルウァが即位し、その後のトラヤヌス帝、ハドリアヌス帝、アントニヌス帝、マルクス・アウレリウス帝と続く、5代84年間を、ローマ帝国の全盛期、皇帝たちの「輝ける世紀」と呼び、なぜローマ帝国は繁栄したのかということを、政治システムの面から掘り下げた内容となっています。
元老院議員の間で広く婚姻関係が結ばれたことで、皇帝権力を支える基盤としての元老院の社会システムが安定したこと。
紀元2世紀前半には、元老院議員の公職就任順序が整備固定化され、パトリキ貴族と呼ばれる古い家柄の元老院議員は軍隊司令官につかないようになり、軍隊司令官については皇帝が属州出身者や騎士階級を起用することで、階層間の流動性のある社会構造となり、「新しいローマ人」の力を帝国統治に活かすことができました。
しかし、マルクス・アウレリウス帝の時代以降、外患に対処するために、騎士身分を重用する流れになったことで、元老院議員に基盤を置くのではない、直属の騎士身分に支えられた皇帝の専制的体制への道につながることになったようです。
五賢帝の時代にも権力闘争があったこと、皇帝の個人的な資質以上に皇帝が寄って立つ元老院の社会システムが「輝ける世紀」の基盤であったということがわかりました。
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アメジスト
夕立雲はこちらまでは届かなかったですね。
読書記録です。
マルクス・アウレリウス
『自省録』のローマ帝国
南川高志 著
後世、哲人皇帝と神格化された皇帝の実像に迫る本です。
マルクス・アウレリウス帝の治世は、長い戦乱と長期の天然痘パンデミックに翻弄された時代でした。
哲学の理想の通りには生きられず、皇帝として必ずしも有能ではなかった人間が悩み苦しみながら、自分自身への励ましや叱咤激励を綴ったのが『自省録』だそうです。
ローマといえば浴場が有名ですが、実はとても汚かったことは衝撃でした。
映画のテルマエ・ロマエでは清潔そうな浴場だったので。
本書p159にあるマルクス・アウレリウス帝の言葉
『かくも多くの立派な友人諸君の助言に私が従う方が、友人諸君が私たった一人の意向に従うよりも、より公正である』
というのはローマの共和政の精神の大いなる礼賛でもありますが、哲学を愛する皇帝だからこそ、自らの凡庸さを自覚していたのかもしれませんね。
マルクス・アウレリウス帝の政治は基本的には、先帝の方針を継承されたもので、仕事人としてのローマ皇帝に徹した感もあります。
『自省録』は哲学に憧れた凡人皇帝が強く生き抜いた証といえると思います。
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読書しました。
新・ローマ帝国衰亡史
南川高志 著
岩波新書
コンスタンティヌス大帝やその息子のコンスタンティヌス2世、そのあとの「背教者」ユリアヌスの記述が詳しく、ローマ帝国後期の政治史がコンパクトにまとめられています。
ローマ帝国は広大な地域に住む、様々な部族の人々を「ローマ人である」というアイデンティティでまとめた帝国である。
帝国が衰亡していく時代、ローマ人は排他的になっていきましたが、なぜ排他的になったのか。
いわゆるゲルマン民族の大移動によるものなのか、キリスト教を国教化したためなのか、もう少し掘り下げた考察がほしいところです。
21世紀に入ってからの日本をみてもわかる通り、衰亡していく社会においては排他主義が跋扈するという明白な特徴がありますが、それに対する処方箋を考えるためには、その深層まで探る必要があります。
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