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モ!
ひたひたと
後ろから迫る音
古いワックスの匂いが立ち込める
冬の寒い時分の学校の廊下
窓から差し込む光はオレンジ色で
壁を天井を、一つの色に染め上げる
僕の影は化け物じみて
床から壁にと折れ曲がり
大きく伸びたり小さく消えたり
鼓動の音もそれに合わせて
大きくなったり
小さくなったり
ひたひた と音がする
振り返っても誰もいない
誰かが生唾を飲む音がする
汗が微かな音を立てて 頬を下る
荒い呼吸が耳に近い
教室はどこも もぬけの空で
机の並びは乱れていた
乱雑な椅子の足の下に
小さな蜘蛛が小さな呼吸を繰り返している
僕は走る 足はもつれる
階段を降りる 転げ落ちそうになるのを
手すりに捕まりなんとか防ぐ
職員室に 用務員室に
誰かいませんか
影は一つ
増えない
減らない
ついには靴箱まで辿り着き
ドアを開いて外に転げ出た
僕は息せきかけて
自宅に帰る
太陽も僕を見放して
思わず僕は布団に潜り込む
布団の香りがする
枕が柔らかく出迎える
僕は布団から頭を出し
照明を付ける
日常の光が僕の影を一瞬だけ細くした
1階から母の食器を洗う音がした
僕はぬいぐるみを抱きしめる
綿の弾力が今日はかすれた悲鳴のように聞こえた
しかし
足だけが妙に湿っていた
その汗が、廊下で聞いた音の様に冷たかった
ぬいぐるみは黙っている
時計が6時と告げた
その直後だった
ひたひた
ひたひた
#匠さん #ことばりうむの星 #AI添削

ものものがたり~モ!の物語~
参加

モ!
私は中途半端
猿にも人にもなれず
私は中途半端
武器を眺めている
行き交う人は
日々の糧を
獣に堕することで得る
私は獣に
おこぼれをもらって
生きながらえている
私は中途半端
本を片手に
まどろむ
私は中途半端
インク壺に
ペンは残される
錆びるのを待つように
#ことばりうむ #匠さん

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