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加遠留

加遠留

「鑑賞と批評」或は「理性と寛容」@何だかなあ

昔、某美術館について「現代美術に偏重しがちだ」といつた記事が某紙に載つた。僕はそれを読んで「そうでもないだらう」と思つた。

知人二人にこの記事の内容をどう思ふか別々に聞いてみたら、二人とも
「美術作品を鑑賞してどう思ふかは人それぞれだ。批評家がどう鑑賞するかを押し附けるのは間違つてゐる」
といつたことをやや気色ばんだ調子で語つた。

「いや、さういふことを聞いてるんぢやないんだけど」
と2回続けて僕は思つた。何だかなあ。知人らは美術鑑賞で嫌な思ひ出でもあつたのかしらん。

作品を鑑賞する際に自由であることは重要だ。しかし、それは批評を受け附けなくてよいといふことを意味しない。自分と作品との一対一だけの関係では、鑑賞の幅が広がらない。他人がどう鑑賞したかを知ることは、自らの鑑賞を豊かにするのだ。

🎨

「感じ方考へ方は人それぞれだ」と人はよく言ふ。でも、それは、大抵、自分の感じ方考へ方を否定されたくないだけであり、自分以外の感じ方考へ方に寛容である訳ではないのだらう。まして
「私は貴方の意見には反対だ。だが貴方がそれを主張する権利は命をかけて守る」
といつた風には中々なれないよね。

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