ある雨の日、男が妻と息子を自らの手で殺した容疑で警察に逮捕される・・・。取り調べ室に連行された男はいきなり「わたしを死刑にしてください」と言い放つ。そんな男を取り調べることになったベテラン刑事は、実は妻がうつ病で、家庭が崩壊しそうになっていた。2人の男が狭い取調室で向かい合う中、次第に事件の真相が明らかになっていく・・・。妻子を殺した容疑を掛けられた男(佐藤B作)とベテラン刑事(中西良太)との、狭い取調室の中での密室での対話を緊張感たっぷりに描く完全な会話劇。死んだ妻と子のもとに行きたいと死刑を望む男と、うつ病を発症した妻がいる刑事とのやりとりを通し、2人の男の葛藤、表と裏、そして事件の真相を暴いていく。出演は、『じんじん』などに出演した佐藤B作と、俳優として活動しながら本作の脚本も手掛けた中西良太。『育子からの手紙』などの村橋明郎がメガホンを取る。ベテラン俳優2人の引き締まった演技と密室に流れる張りつめた空気に、目がくぎ付けとなる作品。劇中降り続く雨は、長引く取り調べの間中に、時折場面転換として挟まれ、陰鬱な空気感と取り調べ室の閉塞感を表すのに効果的に使われています。しかし、取り調べも終わり、真相がある程度明らかになって、容疑者の男も少し晴れやかになると、同時に雨も上がるのです。これは意図的にそう設定されていました・・・。と、アマプラで見つけた『ある取り調べ』という作品を鑑賞。先程投稿した映画を観た後でのこの作品・・・ 何と言うか、真逆?の作品という正直な印象。もうね、どうしようも無いくらいに正反対な作風だから、そもそも比べるな!という意見もあるでしょ😅 だがしかし!思うのです。人が、心を掴まれたり惹き付けられたりする「物語」って、映像の美しさ?派手さ?お話しの濃厚さ?巧妙さ?アクションで目も離せない?感動で心揺さぶられる?もちろん、その要素は大きく影響します。間違いありません・・・。ただ、そんな物が一切無くても、良い作品というのは存在する・・・と、深く感じる事が出来る映画だな、と思いました。直前に観た映画が、かなり影響してるとは思わざるを得ませんが😅😅😅まず、ストーリー自体はごくごくシンプルです。ひねりがあったり、伏線を張ったりなんて最近のドラマによくあるような事は、まったく!してません。むしろ途中で、なんとな〜く薄らと気づいてしまう程、と言ってもいいです。エキストラが数名使われているだけの、演者と言えば〝ほぼ!〟3人だけで進められる、密室での会話劇。舞台で3人だけで演じられている光景が、目に浮かぶ程のB級テイスト・・・。でも、何故こんなにもズドンと突き刺さるんだろう・・・。それは、シッカリと「人」を演じているから、だと思う。最近のドラマは、ノベライズ(小説上がり)コミカライズ(漫画上がり)と、既に〝売れている〟コンテンツをドラマに仕立て上げるのが主流になっている。こうする事で放送前から、ある程度の「視聴率」が見込めるから、というのが先ず1つ大きくある。でも、これは実のところ大きなギャンブルでもあって、演出や脚本キャスティングなど、様々な部分が原作ファンや、視聴者の納得を経て得られる物。そうでなかった場合完全なる逆効果になるのもしばしば・・・。以前は、オリジナルシナリオのドラマなんて、当たり前のようにバンバン放送されていた。それだけ腕のいい脚本家が多かったのだろう・・・。既存の作品の登場人物は、もうそこに「出来上がっている」。この原作が素晴らしければ良いドラマになる、駄作であれば視聴率の取れないドラマ・・・という訳ではないが、既存の作品をドラマにする場合、原作以上の作品に仕上げていくのは、並大抵のことでは無い。ましてや、「人」をドラマの中で、作り上げていくのは、ほぼ無理と言える。やはり原作の中で「泳ぐ」しかないのである。本作は、いわゆる〝ファンタジー〟も〝ミステリー〟も〝ホラー〟も〝ラブロマンス〟も・・・ありとあらゆるドラマにおいての「ジャンル」を一切用いてません。強いて言うならそのジャンルは『人間』とでも言うのでしょうか。特にオススメするつもりはありません。直前に観た作品との対比から、このような長文となりました😅 あいとぅいまてーーーん #オトコの映画鑑賞 #ある取り調べ #佐藤B作 #中西良太 #密室会話劇中