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風ささ
砂浜には銀のビールの空き缶
そこで交された夏の会話を思い描きながら
高く飛ぶかもめは地上には無関心に
水平線に湧いているのは雲の群れ
誰かの作った砂山に
打ち上げられた止り木を差して
けれどもうすぐ
この砂山にも波が届き
その姿は失われるだろう

風ささ
人影もない海岸線はなだらかに続く
青い波だけがゆっくりと打ち寄せる
足元に泡を立てて崩れ去るために
海が吐きだす白い巻貝を
波は飽きることなく転がし遊び
その色を奪い去る 少しずつ
誰もそんなものがあったと
言い当てることはできない
やがては砂の一粒に返すために
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