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🦔めるい🎃🦇
「三田でーす」
「佐々木です」
「2人合わせて」
「「マイテンポです」」
「よろしくお願いしまーす」「お願いしますー」
「時に佐々木くん!」
「どうした急に」
「君には座右の銘というものがあるかね」
「座右の銘?」
「そう、人間の中核を担う部分だ」
「言いすぎやろ」
「で、君の中核は?」
「その言い方やめぇ、そやなぁ日進月歩とか?」
「ふん、マメホソクチゾウムシが」
「知らん虫出してくんな、悪口かどうか判断に迷うわ」
「大体4文字も使うな、意地汚い」
「そんな言われる?座右の銘なんて相場四字熟語かことわざやろ。じゃあ逆にお前の座右の銘はなんやねん」
「ふっふっふっ、たけのこだ」
「は?」
「だから、たーけーのーこ!」
「四文字やんけ」
「早まるな!」
「なんじゃこいつ」
「漢字でたけのこだ、一文字で筍。1…素晴らしい、シンプルにして至高の数字…」
「あんま喋んな、わけわからんから」
「どうだい、素晴らしい座右の銘だろ」
「…まぁ、ええんやない?すくすく伸びる的な感じで縁起?も良さそうやし」
「いや、違うぞ?」
「ん?」
「たけのこは若いうちじゃないと食べれないだろう?若い頃は食い物にされるって意味だ」
「最悪やないか、もうええわ」
「「どうもありがとうございましたー」」
#創作 #三題話 #漫才


🦔めるい🎃🦇
なんでも初めて見たものを記憶して一字一句空で繰り返せる、という特技があるらしい。
試しに寿限無を渡してみたら、
「こんなの朝飯前だ」
とか言って、10秒ぐらいで読み終えた。
「じゃあ、言ってみてくださいよ」
「いくぞ、ことぶきげんむ、ことぶきげんむ…」
読み方は教えるべきだった。
あと、一応最後まで言えていた。すごい。
#創作 #物語 #三題話


🦔めるい🎃🦇
人ともので溢れかえってるこのゴミゴミした街が何故だか心地よかった。
なかでもこの路地裏は気に入っている。
コンビニの脇を抜けて突き当たりまで進む。
三方を高い壁に囲まれたこの空間は妙に落ち着いた。
月明かりから俺を隠してくれるようで。
ある夜、いつものように路地裏に行くとカツアゲの場面に出くわした。
いつもなら関わり合いになりたくないが、その日は体が動いた。幸い警察を呼ぶそぶりを見せるとすぐにビビって走り去っていった。
助けた中坊からはお礼にとメロンパンをもらった。
返そうとしたが、すぐに立ち去ってしまった。
「どうすんだよこれ」
そう言ってふと上を見上げると三日月が昇っていた。
お天道様は見てるっていうが、月もなんか見てんのかな。
いつもの角に座る。
メロンパンをかじって月とおんなじ形にしてやった。
#創作 #物語 #三題話


🦔めるい🎃🦇
周りには少しの食料と水。
そして大量の野球道具。
なんだこの状況は。思わず頭を抱える。
私はプロ4年目になる野球選手、新人王をもらったこともある。
無人島には縁もゆかりも無いはず。一体何が…いや、考えていても仕方がない。生きて脱出することを考えなくては。
無人島でも野球の道具とスキルは役に立った。
金属バットの先を潰して斧がわりにしたり、ボールを投げてココナッツを取ったりした。グローブは…敷いて寝てみたりもしたが…まあ、うん。
ともかく無人島生活は思ったよりも順調にイカダを作るところまで漕ぎ着けられた。
島の木と漂着物で作ったイカダ。少し小さいが1人で乗るには十分だろう。
よし、出発だ。ある程度の水深があるところまで押していき、イカダが浮かんだところで飛び乗る。
沖へ出てぐんぐんと漕ぎ出していく。
すると、どこからか電子音楽が聞こえてくる。
ゲームクリアの時に流れるような軽快な音楽だ。
近くに船でもあるのか?見回すがあるのは今出たばかりの島と水平線だけ。
それなのに音楽はどんどん大きくなってくる。
ついに、目の前で演奏されているような音量までになったところで目が覚めた。
「脱出おめでとうございます」
そう声をかけられて思い出す。
そうだ、私は擬似体験型アクティビティ〈メルーイ〉で無人島コースを遊んでいたんだ。それも、夢だった野球選手という設定で。
係の人にマシンから起こしてもらい、建物の外に出る。日差しが眩しい。無人島ほどではないが。
この不思議な達成感があるから午後の仕事が頑張れるんだ。
ひとしきり余韻に浸った後、会社へと向かった。
#創作 #物語 #三題話

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