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「わたし」は、ほんとうに「わたし」か?「わたし」は、ほんとうに「わたし」か?

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『それでも、ここに在る』


ある日、俺は慣例的に某神社に訪れていた。

ただ、雰囲気が好きなだけだ。
木々の植え方、陽の入り方…
そして、100年後の様相まで見越してデザインされた人工的な自然がそこにあった。
これは、「芸術」だ。
創った人は天才だと、心の中でそっと呟いていた。

そう木々のトンネルを見上げながら静かな境内を歩いていると、木々の隙間から青い影が見えた。

「あれは…鳥、青い鳥…」

その鳥は、以前橋の上で羽を残していった鳥とそっくりだった。
相変わらず、真っ直ぐ前を向いて飛んでいるみたいだ。
無意識のうちに、俺はその鳥の行き先を追いながら、木々のトンネルを抜けて広場に出ていた。

「ん?」

すると、少し不思議な光景を見た。
あの青い鳥は広場の空中で止まったまま、妙な挙動……芝生に羽を下ろしそうになっては、また浮上したりを繰り返していた。

…なんだ? 怪我でもしてるのか?

俺は、改めて周囲を確認したが、害敵になりそうな影は見えない。せいぜい、カラスが数羽いるくらいだ。

その鳥は、よく見るとめっちゃ困った顔をしていた。
空中で上下運動を繰り返すたびに、羽が抜けて落ちてくる。

…ハゲそうやな

確かに、この羽は美しい。
だが……ハゲた姿は見たくない。
そう思って、俺は自分から体を示すことにし、芝生に腰を下ろした。
別に大したもんじゃないけど、一応気に入っているズボンが少し汚れた。

青い鳥は俺を見ていた。
静かにじっと。
そこで、俺は口を開けた。

「たしかに、少し汚れた。だけど、なんてことはない。俺は俺のままさ。」

「君もそろそろ降りてきたらどう?」

「なに、大丈夫。翼が痛い時はたたんで、その足で歩いていけばいいんだよ」

「んで、歩き疲れたら少し休めば良い。この辺には、日陰がたくさんある」

「そして、その綺麗な羽の傷が癒えた時、飛びたいと思ったのならそうすればいいんだよ」

「なんにせよ、君は君だろ?」

そしたら、青い鳥は少し目を逸らして、またどっかに飛んでいった。

そーいえば、この前のお礼を言い忘れたな

目の前には、青い鳥が落としていった羽が何枚か散らばっていた。
それを見つめながら、俺は自分の背中を少しさする。
いや…手が届かなかった(笑)

拾って、詩集の栞にでもするか…持ってないけど

#青い鳥#返歌#七色の翼#イマソラ
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