『無に近い5文字』彼に、毎年一度だけメッセージを送る。お誕生日に。でも、もう会いたくない人から晴れの日に言葉が届くのって、きっと嫌だろうなって思って、やめよう、やめようって思いながら、気づけば、4年目。既読にはなる。私からのメッセージだけが並ぶ4年の画面。今年は、七夕に送った。お誕生日には送らない。不快なお誕生日にしたくないから。今日のメッセージは、さすがに既読にならない。ただ、「暑い夏を、元気に乗りきってください」それだけ。それすら、もう言えないほど遠い人になった。本当は、彼を想うなら、こんなこと、やめるべきなのに。時が経つほどに、自分でもわかる。これはもう、ストーカーみたいだって。でも、私にとっては、まだ昨日のこと。“0”無。それが、こんなにつらいなんて。口内炎が、いつの間にか痛くなくなるみたいに「あれ?もう平気」って思える日をずっと待っている。もう4年。一年に一度、会える織姫と彦星が羨ましい。暑い夏を乗りきってね。――「ありがとな」たった5文字でいい。限りなく“無”に近くていい。その繋がりだけで私は、生きていけるのに。#届かぬ想い#七夕に想う