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読書しました。
『エセー』読解入門
モンテーニュと西洋の精神史
大西克智 著
講談社学術文庫
『エセー』についての予備知識が全くない状態で本書を読みましたが、序盤でモンテーニュの来歴について解説されていたので親切な構成となっています。
ユグノー戦争の時代を生き、戦乱などで命の危険にさらされた人間として、対立する勢力の双方の言い分を慮る必要性を説いたことについては、現代の私達も学ぶところが大いにあると感じました。
『エセー』の最重要プロジェクトは自分自身の探求であること。人生の意味を、それ以前の思考の枠組みにカテゴライズするのではなく、自分の頭で解き明かそうとしたのは、私達、現代人に通ずる問題意識を持っていたのだなと感じました。
ペストに襲われ、自らを埋葬する百姓をみて、学知がなくても毅然として死に対峙する姿を目撃したことで、一人の人間として生きていくとはどういうことなのか、本書の帯にある「平穏な人生を送るために、学識はほとんど必要ない」の意味を考えさせられました。
p423の「あなたは生きたではないか。それこそがあなたにとっては根本の、そしてもっとも輝かしい仕事ではないか。」というモンテーニュからのメッセージを受け取って、「どう生きるか」という問いを今度は私達が考えていく、それが本書を貫く最大のテーマとなっています。
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めんちかつ
哲学への最初の扉は「死」だった
「哲学とは、死について考えることである」
この衝撃的な言葉を知ったのは、大学生の時。中島義道先生の著書『哲学の教科書』を読んだときのことでした。
そして、その言葉の出典を辿ると、16世紀フランスの偉大な思想家、ミシェル・ド・モンテーニュの『エセー』にたどり着きます。モンテーニュは、まさに「哲学するとは、いかに死するかを学ぶことである」と述べています。
なぜ、哲学という学問は、生きている私たちが「死」について考えることから始まるのでしょうか? そして、この「死」というテーマこそが、一般の人々が西洋哲学を難解だと感じる理由を解き明かす鍵になるのです。
一般の人には理解されない「西洋哲学」の壁
「西洋哲学」と聞くと、多くの人が「難しい」「何を言っているのか分からない」と感じるかもしれません。
私たちが学ぼうとする「存在論」「時間論」「世界論」といったテーマは、日常生活からかけ離れているように見えます。
例えば、
存在論:「存在する」とはどういうことか?
時間論:「時間」は客観的に流れているのか?
世界論:「世界」は本当に私が知覚している通りに存在しているのか?
これらの問いは、私たちの「自分は生きていて、時間の中で世界に存在している」という当たり前の前提を揺さぶります。なぜ哲学者たちは、わざわざそんな遠いところから物事を考え始めるのでしょうか?
「死」を学ぶことが哲学の中心にある理由
その答えこそが、「死」です。
モンテーニュが言うように、「哲学をするとは死について考えること」です。
私たちが「死」という避けがたい事実と真正面から向き合ったとき、初めて西洋哲学が追求する根源的な問いが、切実な問題として立ち現れてきます。
「私が死ぬ」ということを考えたとき、「私とは何者か(存在論)」という問いが生まれます。
「私の死」は「私の時間が終わる」ことを意味し、「時間とは何か(時間論)」を問わざるを得ません。
「私が消滅した後の世界」を想像したとき、「世界は私がいなくても存在するのか(世界論)」という根本的な疑問に直面します。
つまり、西洋哲学の難解なテーマとされる「存在」「時間」「世界」は、「私は必ず死ぬ」という最も切実な事実と切り離せない、「死」にまつわる哲学的な諸問題だったのです。
死を知ることで、真に哲学の問いを共有できる
私たちが日常で触れる「死」は、悲しみや喪失感といった感情的な側面が中心です。しかし、「哲学の学び」としての死は、そこから一歩踏み込みます。
死を学び、死について深く理解すること。それは、西洋哲学が本質的に問おうとしてきた「真の問い」を、哲学者たちと共有するための出発点になります。
「存在論」や「時間論」といった言葉の難しさに惑わされる必要はありません。
まずは、「私はいずれ死ぬ」という避けられない事実から、あなたの哲学を始めてみませんか。それは、難解な学問ではなく、あなた自身の生と世界を理解するための、最も根源的で切実な学びとなるはずです。
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🪢クナ🪢
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読書術研究家
モンテーニュ著
人相について
「われわれは技巧によって鋭くふくらまされた美しさしか認めない。」
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鷹
暮らすのはもうたくさんだ。
せめてこのわずかな余生を、
みずからのために生きようではないか。
#モンテーニュ
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