ビナウォークに関するコミュニティ投稿【2025】|海老名ビナウォーク-Gravity SNS

[妄想　友達以上恋人未満編]

「楽しかったよねー」
映画館で観た映画の感想を言いながら、ビナウォークの真ん中の広場を歩く。
陽も落ち、暗くなってきた。

このまま帰るのかなー。
ご飯を食べて、映画も観たし、あとは帰るだけだけど…なんとなくもう少し一緒に居たいなぁなんて思ってしまう。

「ちょっと座らね？」
彼が広場のベンチを指差す。
私は、オッケーとノリ良く、嬉しがってる様子を隠しつつ、軽く聞こえるように答える。
内心、小躍りしてる自分が情けない。

「この五重の塔ってなんなんだろうねぇ」
とりあえず、話さないとと思い、目の前の中華風な建物の話題を振ってみる。

「いや、これ七重の塔じゃね？」
「え？ほんとだ七重じゃん。今まで五重の塔って言ってたぁ」
「確かに、七重の塔って言わないもんな」

どうでも良いこと笑いながら2人で話し続ける。
五重だろうが七重だろうが、どっちでも良いんだけど、少しでもこの時間を長くしたくて続ける。

映画の後もベンチでこうして一緒に居るってことは、私は期待して良いのかな…
2人で出掛けて遊ぶこともあるけれど、付き合ってるってわけでもない。
友達以上に意識はしてるけど、恋人ではないこの関係は、もどかしくありつつも、居心地は悪くない。

話が終わってしまって沈黙が流れる。
そろそろ帰ろうか、と言いかけた時、彼が少しだけ空いていた私との距離をグイッと詰める。

「な、どうしたの⁈」
「んーなんか、もっとくっつきたいと思って…？」

私の頭は混乱してどうすれば良いかわからない。
ベンチに座る私の太ももと彼の太ももは、ペタッとくっついた状態になった。
抱き寄せてるわけでもなく、手を握られたわけでもない。
ただ、少しだけ密着している。

「寒くなってきたもんねーわかるー人肌ってあったかいもんね」
なんて誤魔化してみると、彼が私の目を覗きながら「嫌、じゃない？」と聞いてくる。

嫌なら突き飛ばしているよって答えれば良いのに、声が出なくて、私はコクっと頷くしかできなかった。

彼は良かったぁと本当に嬉しそうに笑いながら、ポケットに入れていた手を出して私の手に重ねる。
「あのさ、笑わずに聞いてほしいんだけど…」

私は、鼓動が速くなるのを抑えられない。
友達卒業のカウントダウンが始まった。

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