人気
パッション・フルーツ
以下、感想。
『精霊の守り人／上橋菜穂子』
ファンタジー。長編。
めっちゃおもしろかったです。
NHKでアニメ化&実写化されている有名な作品ですが、そうされるだけある面白い作品でした。
とある事情で父王から命を狙われることになった王子・チャグムと、たまたま王子を助けたことがきっかけで彼を守る羽目になった女用心棒・バルサが主人公。
二人は追っ手から逃げつつ、チャグムが抱えることになった事情についての謎を解き明かしていく…というお話。
読んでてまず思ったのは、読みやすいなーということ。
そもそも児童文学として書かれた作品だからか、難しい語句などはなく、分かりやすく読みやすいです。
でも、ファンタジーでそれができるって、凄いことだなーと思います。
現実には存在しないものを題材とした作品であるにもかかわらず、読みやすいなんて。
難解な語句を使わずにファンタジー世界を描けるほどの卓越した表現力があるってことですよね。
上橋先生の描く精霊の世界は、不思議で神聖で、とても魅力的でした。
お話の部分も、複雑ではないけれど単純でもなく、繊細に構築されています。
チャグムは現実世界の追っ手とは別に、「現実世界と重なって存在している精霊の世界」の捕食者からも追われており、逃走劇は二重にスリリングなものに。
逃走劇のパートで活躍するのは用心棒のバルサで、彼女の無類の強さを堪能できるのはこちらのパートです。
また、精霊の世界の捕食者こそが真の脅威だと判明してからは、その脅威をいかにして退けるかに焦点が当たり、世界の真実を追求する物語へと変化します。
こちらのパートでは、庇護されるだけの存在だったチャグムが世界の様々な面に触れ、大きく成長していく姿が描かれます。
二人の主人公のどちらもを活躍させて、なおかつ、お話の部分もしっかりと魅せるという、卓越したストーリーテリングだと思いました。
読んでて楽しかった。
世界観にもストーリーにも、大変満足いたしました。
ちなみに本作はシリーズ作品の1作目で、本編は10作、外伝も含めると13作に及ぶ長編シリーズだとか。
この魅力あふれる作品を、今後10数作も味わえるのだと思うと、楽しみで仕方ないです。
#読書 #小説 #パッションの読書感想文
読書の星
10
29
パッション・フルーツ
『われはロボット／アイザック・アシモフ』
SFミステリ。連作短編。
とてもおもしろかったです。
前々から興味があった作品だったので、この度読めてよかったです。
ロボットを題材にしてはいますが、そこまでがっつりSFって感じじゃないです。
専門用語ゼロってわけじゃないけど、読みながらなんとなくわかります。
一方、ストーリー構成は明確にミステリ。
作中の短編のほとんどが、「異常行動をとるロボットが現れる」→「『ロボット三原則』に照らしてみて、当該ロボットの異常行動を読み解く」という構成になってます。
謎が提示され、解明される。
すなわち、ミステリです。
ただ、「どの謎も『ロボット三原則』という縛りの中で起こる」という点は、本作独自の特徴かもしれません。
縛りを設定したうえで、きちんと読みごたえのあるミステリを作り上げるってのは、きっと並大抵のことじゃないんだろうなあと感心しながら堪能しました。
おもしろかったー。
ということで、人生で初めて読んだ海外のSF小説でしたが、大変満足しました。
「がっつりSFって感じじゃない」と書きましたが、SF的な楽しさはちゃんと感じられますし、その上でミステリ的な楽しさも感じられるので、一粒で二度おいしいです。
読みやすいしわかりやすいし、パッションみたいなSF初心者にはぴったりな作品かも。
こんな作品が70年以上も前に発表されてることに、驚きと感嘆を禁じ得ません。
小説家ってすごいんだなー
#読書 #小説 #パッションの読書感想文
読書の星229パッション・フルーツ
『福家警部補の考察／大倉崇裕』
倒叙ミステリ。短編集。シリーズ第5集。
なかなかおもしろかったです。
読書リハビリの一冊目としては読みやすくていいですね、こういう短編集は。
パッションはこのシリーズの第1集から第3集までは読んでて、第1集である「福家警部補の挨拶」に関しては手元に持ってもいるんですが、久しぶりに購入したシリーズ作品になりました。
なんで買う気になったかというと、純然たる短編集だったから。
ちなみに第1集も短編集。
2、3集は中編が入ってて、それがあんまり刺さらなかった。
短い尺で鮮やかに帰結する短編の方が気持ちいいみたいです、パッションは。
本作には4編収録されていますが、1編が良く、1編がなかなか、2編がまあまあって感じでした。
倒叙ってのは犯人の犯行シーンから始まって、探偵がいかに犯人を追い詰めるかってのが見どころなんですが、良かった1編は「詰め手のロジカルさ」も「決め手の鮮やかさ」も感じられてよかったです。
その他の3編も、福家警部補が徐々に、しかし確実に犯人を追い詰めていく様子がスリリングでおもしろかったです。
この作品は、犯人もしくは事件関係者目線で文章が書かれてるので、探偵役の福家警部補がなに考えてるかさっぱりわからなくて、そこも作品をスリリングにしてたと思います。
福家警部補の超人的な捜査能力&推理力は本作でも健在なので、その点では安心感もありましたしね。
手堅くおもしろかったです。
しっかり楽しませてもらいました。
ということで、ひさびさの小説読書はなかなかよい時間となりました。
やっぱ推理小説の短編集って気軽に楽しめるジャンルですね。
加えて今回は、既に知ってるシリーズを攻めていったというのもよかったのかも。
ここから習慣になっていけばいいんですが、はたしてどうなることやら…
#読書 #小説 #パッションの読書感想文
読書の星423関連検索ワード