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あお🫧

あお🫧

神社の裏手、しんと冷えた竹林の奥に
ひとつだけ阿弥陀如来の石仏がある

楓は夕暮れ、そっとその前に立った
悔しさではない
怒りでもない
けれど、何かが自分の中に刺さったまま動かない

「わたし、間違ってたのでしょうか」

誰にも聞こえぬように、唇をわずかに動かして
そうつぶやいたとき

阿弥陀さまが、ゆっくりと首を傾けてこう言った

「まかせんしゃい」

ぽかんとした楓に
仏は続けた

「怒るなとも、嘆くなとも言わんよ
ただ、あれはあれで、いっぱいいっぱいじゃったのさ」

「......わたし、正しくあろうとしただけなのに」

「そうじゃの。
そなたは“道”を行こうとした。
だがのう、“道”は時に、ひとりで歩かねばならん」

「では、分かり合うことなんてできないのでしょうか」

仏は微笑んだ
ふくふくとした頬が、月光に照らされる

「分かり合えんことも、ある。
けれどな、“分かろうとした心”は、ちゃんと届いとる」

「……どこに?」

「このわしの懐にな」

楓は泣いた
ぽたぽたと、土に落ちて染み込む音がした

「心が汚れたような気がしてたけれど」
「それは成長じゃ。お汚れではない」
「でも、寂しいです」
「寂しゅうてよか。人は寂しさで、やさしゅうなるけん」

阿弥陀如来は目を細め、静かに言った

「そなたはよくやった
あとは……わしにまかせんしゃい」

その夜、楓は夢を見た
あの男が石段をのぼり、静かに手を合わせていた

そして、阿弥陀如来像はまっぱだった

おしまい(笑)

#慈悲のフルスロットル#ノーガード戦法#ことばりうむの星#モ#わかりあえない人の創作への返歌
わたし日記~徒然帖~
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