#読書感想文〜その犬の名を誰も知らない〜映画『#南極物語』で#タロ・ジロ の二頭の犬が生存していた話は2011年のキムタク主演のドラマ『#南極大陸』でリメイクされたので、知っている人は多い。しかし、どうして二頭だけが生存できたのか?どうやって食糧を調達できたのか?についてはほとんどの人は知らない。タロ・ジロ以外に”第三の犬”が共に生きていたというショッキングなエピソードからこの本は始まる。市立図書館で2冊蔵書があって、三人予約が入っており、私の後にも予約入れている人がいるので、結構注目されている本らしい。たまたまグラ友さんとのやり取りの中で出てきてタイトルを知ったのだけど、Amazonのレビューで「泣ける話」と評されてたので期待して読んでみた。監修の北村泰一氏は1931年生まれで昨年亡くなった義父と同い年。キムタクのドラマの原案者でもある。西日本新聞の記者だった著者が聞き取りする形で事実を検証し、第三の犬を突き止めるという体裁。読みながらずっと南極物語のテーマ曲と晴れた雪原を疾走する犬たちの映像を思い浮かべてたんだけど、読了すると何とも言えない靄っとした思いが残った。犬ってなんだろう?犬にとっての幸せな生き方ってどういうものなんだろう。人間に仕え、忠実でいることで自らの居場所や生き方を見出す生き物、というような言われ方をすることがあるけど、人間の傲慢さを直視しないわけにはいかなかった。戦後10年の1954年という時代背景、敗戦国としてのレッテルを少しでもはがしたいという国全体の思いを背負って出発した南極探検隊。明治末期の白瀬探検隊もまた21頭の犬を置き去りにした事を受け、絶対そのようなことがないようにと犬を守る会ができたり、北村氏が一次探検から帰国した時は激しく非難された。国策としての探検に大きな危険があることは誰もが承知、それでも行くという事は命より国益を優先するという考えがあってのこと。明治期の白瀬中尉は千島の幌延島を守る目的で越冬中に食糧が不足し、自らの愛犬を食している。犬を食べる国もあるし、牛だって愛着が湧いてても屠殺する訳で。当時にはなかった動物福祉という考え方も最近は広がってきている。改めて人間とは?という大きな問にも直面するきっかけになった。