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🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#アナ小説第14話
雷火珠の淡い光が、足元の影を長く引き延ばしていた。
崖下は思っていたよりも静かだ。風はあるのに、葉擦れの音が少ない。
俺は警戒を強めながら周囲を見回し、ある一点で足を止めた。
散乱する枝葉。それも尋常な数ではない。頭上の木々を雷火球で照らすと、枝という枝が明らかに
上から押しつぶされたような折れ方をしていた―――
「 レイミナ嬢、君は……この上から落ちてきたってことはないかい?」
「 えっ!?この上からですか!」
俺の後ろをついてきていたレイミナ嬢が素っ頓狂な声をあげて、上空を見上げる。
「うーん...やっぱり私が気づいた時には、地面の上でしたから。落ちてきたのか、もしそうだとしても、どうやって落ちたのか…さっぱり分かりません」
雷火球の光量では木々の梢がどうなっているかまでは判別できない。
「 そういえば、気づいた時は身体中痛かったですけど…硬い地面で寝てたからだとばなり…それ以上にこの場所から離れなきゃってことしか考えてませんでした」
「 そうか……。仕方ない、この上を確認するしかなさそうだな。確かこっちの方角に崖上に登る道があったはずだ。」
俺はレイミナ嬢に向き直り、少し森の中を歩くことになる旨を伝えた。
(はぁ、屋敷の中は安全だと高を括って剣を持っていなかったことが悔やまれるな…)
腰にあるのは護身用の短剣のみ。俺は内心で己の迂闊さを呪いつつ、努めて冷静な声を出す。
「 申し訳ないが、夜の森は何が出てもおかしくない。俺の側を離れないように少し急ぎ足を頼む。」
「 もちろんです。それに私、ドレスではなく乗馬スタイルですし、大丈夫です。」
「 スタイル…?は分からんが、確かに乗馬服を会った時から着てたな。気づいた時からなのか?」
乾いた草を踏みしめる音が静寂に響く。昼間はあれほど騒がしかった鳥たちの声さえ聞こえない静かな森を、俺たちは話しながら歩いて行く。
「 そうですよ。気づいたらこの格好で、この女性になってましたから。」
「 …そうか。レイミナ嬢は…、その、レイミナ嬢になる前は何をしていたんだ?」
「 ニホンって言う国でOLしてました。あっOLってのは、普通に働いていたってことです。」
「 レイミナ嬢の居たところは、女性が“普通”に働くことができるところなんだな。」
「 ここは普通には働けないんですか?ヨナさんとか侍女のお仕事してると思うんですが…」
「 貴族の女性は基本働かないかな…。ヨナは貴族出身だが、元々俺とブルーノと一緒に剣を握っていたんだ。俺が男爵位を賜った時に、有難いことに一緒に来てくれたんだ。」
「 そうなんですね! じゃあヨナさん今も強いんだ!!日本にいた頃、読んでた物語もそんな感じでした!かっこいい!……そういえば、グレイヴさんは元は平民だったんですよね?」
「 あぁ」そうなんだ。と短く肯定しようとしたその時だった。
―――ガサガサッ。
遠くの茂みが、生き物の気配で動いた。
俺は反射的にレイミナ嬢を背に庇う。掌の上の雷火球に魔力を込め、球状の形を縦一直線の閃光へと変化させる。伸ばして照らした。簡易的は光の刃だ。
音のする方へ切っ先向け、闇を切り裂くように照らし出す。
「 ……う、ま?」
俺の背中からひょっこりと顔を出したレイミナ嬢が、間の抜けた声をあげた。
その声に反応するかのようにカポカポと蹄の音が近づいてくる。
確かにそれは馬だった。しかも背には立派な鞍が着いている。
(誰かが乗っていた馬…一体誰が…)
俺は警戒を解かずにゆっくりと近づく馬を観察した。栗毛のやや小柄の体躯。手入れの行き届いた毛並みは、野生の馬ではないことを示していた。
「 おいで」
不意にレイミナ嬢が俺の後ろから声を掛けた。
「 レイミナ嬢、まだ危険かもしれないんだぞ」
「 でも、見てください。この子、怯えてます。」
確かに近づいてきた馬の目は不安げに揺れていた。俺は溜息を一つつき、雷火球の光を和らげて威嚇を解く。
「 よしよし、もう大丈夫だよ」
と声を掛けながら馬の首筋を撫でてあげていたレイミナ嬢の胸に、馬はぐいっと頭を押し付けていた。まるで縋るように…
馬の体は熱を帯び、荒い鼻息を漏らしていた。もしかしたら、主人を探してずっと森を彷徨っていたのかもしれない。
「 ……ブルル」
小さく鳴いて、レイミナ嬢の肩口に顔を擦り付けている。―――やっと見つけた。
言葉は泣くとも馬の仕草は雄弁にそう語っていた。
「 随分と懐かれたな」
「 ふふっそうですね。可愛いです」
慈しむように馬の首を撫でる彼女を見て、俺の仲で一つの推測が確信に変わる。
「 レイミナ嬢が乗っていた馬なんじゃないか?その乗馬服に、この懐きよう。全ての説明がつく。」
「 えっ!…うーん…やっぱり覚えてないや。ごめんね。」
彼女は申し訳なさそうに馬に謝りながら、鼻面を撫でた。馬は嬉しそうにしっぽを振って応える。
俺は馬の目を見て問いかけた。
「 君にはレイミナ嬢を乗せて欲しいのだが、頼めるか?」
すると馬は、まるで言葉を理解したように“どうぞ”と言うように頭を下げてくれやはり、相当に躾られた賢い馬だ。
レイミナ嬢はありがとう、興奮した様子で馬の首に抱きついていた。
俺はその隙に鞍の様子を確認すると、鞍の後ろ側に皮袋が括り付けられているのを発見した。
開けて見ると、地図、リボンでまとめられた手紙、木箱に入った薬瓶があった。
「 レイミナ嬢、来てくれ!このリボンは君が持っている腕輪と同じ模様じゃないか?」
「 あ!ホントですね!!やっぱり、私を乗せてくれてた子なんだ!」
荷物も鞍もそのまま――そして馬自身も無傷。奇跡的な幸運だ。
「 少し確認したいことがある。レイミナ嬢、乗ってくれ」
「 あ、はい。グレイヴさんは?」
「 この子はノクスより小柄だから、二人乗りはさすがに可哀想だからな」
俺はレイミナ嬢を乗せた馬の手綱を引き、目的地であった崖の上を目指して歩き出した。
★☆★☆★
崖の上までは、そう時間はかからなかった。
「 やっぱり……。レイミナ嬢はここから落ちたようだな。」
崖の縁から下を覗き込む。
斜面に生えた木々が上からなぎ倒されるように折れていた。枝がクッションになり、何重にも折り重なる葉が衝撃を殺したのだろう。よく……無事だったな。
隣を見ると、同じように崖を覗き込んだレイミナ嬢が顔面蒼白になっていた。
現実を目の当たりにして、自分が無事だったのが奇跡に近いと思ったのだろう。崖は即死するほどの高さではないが、正気で飛び込める高さでもない……。
「 帰ろう。確認も終わったし、手がかりもレイミナ嬢の馬と皮袋の中身と十分に手に入った」
「 は、はい。そうですね…」
彼女の声が微かに震えている。無理もない。
俺は努めて明るく、話題を変えることにした。
「 ヨナ達も心配しているだろう。何も言わずに突然に消えたのだから…」
言いかけて、俺はハッと今更ながら屋敷はやばい状態になってるのではと気づき、さーっと潮が引くように、顔面から血の気が失せていくのを感じていた…。


🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#アナ小説第10話
第10話
ノクスに乗って、ゆっくりとお屋敷を目指す。
目線が高くなると、見慣れたはずの森がまるで別の世界みたいに見えた。
歩いていた時よりも木々は高く、草の色は私の知っている色よりもキラキラと時々金色に見えた。
いやこれは、葉の色じゃなく、空気の中に淡く金色に光る粒が漂っている――
枝のあいだから飛び出した小鳥は、可愛らしい声で鳴きながら、虹のような羽をひらめかせていく。
――やっぱり、ここは私の知っている世界じゃない。
お屋敷が近づくにつれて、そのお屋敷の大きさが分かってきて、思わず息をのんだ。
どうしても日本の家を想像してしまっていたようで、広大な敷地と荘厳な建物を目にするとここは近代ヨーロッパ風の世界なのだと改めて思い知らされる。
「おっきい…ここ、全部グレイヴさんのおうちなんですか?」
「まぁな。でも、これは小さいほうらしいぞ。」
「…グレイヴさんって何者??」
「ははっ、俺はついこの前まで平民だったんだ。今は陛下に男爵位を賜ったのグレイヴ・ティオン 男爵だ。」
「へぇーすごい方なんですね!」
えーと、確か私が日本で読んだ小説だと、男爵って貴族の位では1番下だったはず。
「陛下」ってことは王族もいる世界か。
うわっ、思ってたよりもすごい世界じゃない!
私みたいな平民から貴族になんて相当大変そう
…あれ?どうしたら平民からお貴族様になれるんだろう?もしかしてグレイヴさんって実はとんでもない人だったりして――
「さっ、着いたぞ」
「あ、はい。ありがとうございました」
そう言いながら、ノクスから降りた。
かっこよく降りたかったのに、初めての乗馬は思った以上に筋肉を使ったようで、足がもたついた瞬間――
後ろからグレイヴさんの腕がサッと支えてくれる。
「危なっかしいな」
「す、すみません!ありがとうございます!」
情けないところを見られてしまって、顔がじんわり熱くなる。
うぅ、もう少し上手くできると思ったのに…。
屋敷から男女の2人が急いで出てきた。
2人とも私やグレイヴさんとあまり変わらない歳に見える。
「グレイヴさま。お早いお帰りで」
そう男性の方が言って、目線だけチラリと私を見た。
「この方はレイミナ嬢だ。森で倒れていたのを見つけて保護した。
記憶をなくしてるみたいで、名前以外は覚えていないらしい。
無理のないよう、できるだけ丁寧に頼む」
「レイミナ嬢、この2人は
ブルーノとヨナだ」
「執事のブルーノでございます。」
「侍女のヨナです。これからレイミナ様のお世話をさせていただくことになるかと思います。よろしくお願いいたします。」
ブルーノさんは、黒みを帯びた青髪に水色の瞳
ヨナさんは、赤みのあるオレンジの髪に淡い緑の瞳
うん、カラフル!
この世界で初めて会ったグレイヴさんが日本でよく見た黒髪だったから、何も思わなかったけど―――よく考えたら私だって銀髪なんだよね。
「よ、よろしくお願いします。でも
お世話なんて…なんでも自分でできますし。色々グレイヴさんが気になることを調べて下さるだけだって言われていましたし…」
“ねっ!”って気持ちを込めて隣りのグレイヴさんを見る。
「いや、何も覚えてないんだろ?調べたあと、どこへ行くつもりなんだ?」
とグレイヴさんが顔を寄せて言ってきた。
あ、グレイヴさんの瞳って黒じゃなくて深い紫なんだ。
「……確かに、行くあてないです。すみません、少し長居するかも知れません。
改めて、レイミナと申します。これからよろしくお願いします」
そう言って2人にぺこりと頭を下げた。


🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
第4話
額の汗をハンカチでぬぐって、ふと空を見上げる。
青くて、どこか不自然なほど静かな空。
――そのときだった。
光が目の前にふわりと浮かび上がる。
「……また?今度は何?読めないってば!」
今度は読めない文字の選択肢が3つ。
①Ϸ𐑖𐊯ᑕ
②Ϣ𐊥𐋉𐌺
③ℌ𝔒𝔅ɀ
今度は私の意思とは関係なく出てきた。今までとは違うやり方に警戒心は高まる…
すぐにピロンと言うもう何度も聞いた音が鳴り、近くガサガサと草の乾いた音がした。
――今度はなに、なによ!!
咄嗟のことに体は追いつかず、尻もちをついてしまう。 あまりの恐怖に腕で頭を覆う。
トトっと足に軽やかに何かが乗ってきた。
顔を上げると、そこにはキラキラと輝く小さい銀色のうさぎ。
もふもふ…小さい…
「か、かわいいぃぃ…」
怖々と手を伸ばすと抱っこさせてくれるみたいだ。手にスリスリとしてきた。
「あぁ、柔らかいぃ。お利口さんだねー。頭気持ちいいのぉー??」
警戒心なんてあっという間にどこかに行き、うさちゃんにメロメロな独り言を言っては沢山撫でさせてもらった。
すると突然、銀色うさちゃんはを私から飛び降りてぴょんぴょんとおなじ場所で飛んだ。
そして、トコトコと歩きだすとまた、ぴょんぴょんと2回飛んだ。
「あっ、ついてこいってこと??」
私は葉っぱのついたズボンをパンパンと叩くと、うさちゃんの後を着いて行った。
うさちゃんは定期的に後ろを振り返り、私が着いて来ているか見てくれている。
尻尾をフリフリ歩く姿が可愛くて、じっと見ながら歩き、わざと遅く歩いたりして遅い!って怒ってぴょんぴょん跳ねるうさちゃんを見て癒されていた。
突然、銀色うさぎは立ち止まり大きくジャンプしたと思うと、クルッと一回転してピカっと光った。
うさちゃんが居た場所には光るなにかが落ちている。それを拾おうと手を伸ばすと…。
①々0〜仝
②?%〜*
③@((’−
もう見慣れた選択肢。
そして、今回もまた選択肢は見えない―――
つづく𐦍༘

短剣5
腕輪12
リボン7投票終了 24人が参加中

🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#アナ小説第13話
第13話 【グレイヴ視点】
突然、彼女の口から紡がれていた言葉は途切れた。
俺を見ているはずの目も、どこか焦点が合ってないような不思議な違和感が胸に広がる。
「レイミナ嬢、大丈夫か?」
そう言い終える前に
彼女は静かに椅子から立ち上がると、横の開けたスペースへ進む。
つま先が床をトンっと、鳴らした瞬間――足元から魔法陣が広かった。
光が彼女を包む。
咄嗟に腕を掴んで引き戻そうとしたが間に合わない。
俺はその光に彼女ごと飲み込まれた。
☆★☆★
チチチ、と小鳥の声。鼻を突くような青臭い匂い。遠くの空では太陽は沈みかけ、森はすぐ暗闇に包まれようとしていた。
「レイミナ嬢、おい!大丈夫か?」
俺は、まだぼんやりと焦点の合ってない目をした彼女の肩を軽く揺らす。
「グレイヴさん…あっ、ここ私が最初にいた場所ですね」
ほらっと俺の後ろに広がる絶壁を彼女は指さした。
(やはり、ここか…。)
「確かこの上には道があったはずだ。だがせっかく戻ってきたんだ、まず周辺をしらべてみよう。何か君の素性に関する手がかりがあるかもしれない」
俺は指を鳴らし、短く詠唱する。
「――雷火珠」
右肩の横にふわりと温かな光球が現れた。その光だけで、薄暗に沈みかけていた森は明るさを取り戻した。
「わっ、電球みたいですね!グレイヴさんって魔法使えたんですね!すごいっ」
子供みたいに目を輝かせて光球を見上げる彼女。だが、もっと驚いたのは俺の方のはずだ…。
「いや、レイミナ嬢。ここに来た時、君は魔法を使っていたぞ。魔法陣を展開していたが…」
「え、あ…そういえばお部屋が急に明るくなった時に、なんか文字みたいなのが見えましたが、それの事かな…」
と、なにやら他人事のように言った。
「でも、選択肢が出ると勝手に身体が動くんです。さっきもそうで気付いたら、ここに来てて…魔法が使えるかどうかも、正直全然分からないです。」
苦笑いしながら肩をすくめるが、その無防備さが逆に恐ろしくなる。
「そうなのか…。なら、オレが無理やり着いて来て正解だったな……」
掌がじんわりと汗ばむ。
「こんな夜の森に、魔法の心得もない女性ひとり…。死にに行くようなものだ。」
俺は”選択肢“とやらの危うさに、腹の底から苛立ちを覚えた。
〜グレイヴ視点がもう少しつづく*✲〜


🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#グラで短編小説書いてみたい
#アナ小説第11話
第11話
グレイヴさん達に頭を下げて顔をあげると、3人ともふわりと柔らかく微笑んでいた。
「では、私がお部屋までご案内させていただきます」
ブルーノさんが一歩前に出て、すっと道を示すように歩き出す。
「慣れるまではご一緒させていただきます。お困りの事があれば、いつでも声をかけてくださいませ。」
侍女のヨナさんもぱっと表情を明るくして、にこりと礼をした。
気を遣わせたかなと思いつつも、私も軽く会釈して2人の後をついて行く。
お屋敷の中は空気が凛としていて、どこからか漂ういい香りがした。
落ち着いた赤の絨毯長く敷かれた玄関ホールには二階に続く大階段があり、左右にはそれぞれ廊下が続いており、奥には部屋があるように思えた。
(わぁ……おしゃれ…!これが中世ヨーロッパ風ってやつ!?こんな場所で生活するなんて、初めて!)
廊下には季節の花が生けられており、その香りがふわりと漂ってくる。
廊下に吊り下げられたランプは見たことのない形で、透き通ったガラスの中に、小さな粒のような光がふわふわ漂っている。
火が灯っているわけじゃないのに、じんわりと温かい光が広がっていて、どこか不思議で――でも、とても綺麗だった。
キョロキョロ見ながら歩いていると、横を歩くグレイヴさんとふいに目が合った。
初めて会った時の険しい顔はすっかり消え、私を様子をどこか楽しそうに見つめていた。
はしゃぎ過ぎたかもしれないと恥ずかしくなり、私は視線を前に戻してブルーノさんの背中を追った。
そのとき後ろから、「ぷっ」と笑う声が聞こえたような気がしたけれど……気づかない振りをすることにした。
前を歩くブルーノさんが豪華な模様の施された扉の前で止まった。
「こちらが本日からレイミナ様がお使いになるお部屋でございます。足りないものや気になる点がございましたら、このヨナに何でもお申し付けください」
「ありがとうございます。…少しの間お世話になります。」
「身の回りの物も、少しずつ増やしていきましょうね」
とヨナさんも椅子を引きながら優しい笑顔で促してくれる。
部屋の中は柔らかい陽射しが差し込み、そよ風でカーテンが揺れている。
「まずは紅茶でも飲んで落ち着いてください。何も覚えてないんじゃ不安だったでしょう」
ヨナさんがそっとティーカップを差し出してくれる。
湯気と共にほのかに甘い香りが広がった。
日本では紅茶はあまり飲んだことなかったのに、口に含んだ瞬間、懐かしいような胸の置くがほどけるような感覚がした。
きっとこの身体がおぼえていたのかもしれない。
気付けば肩の力が抜け、両手でカップを包み込むようにしていた。
向かいではグレイヴさんも静かに紅茶を口に運んでいた。
「落ち着けそうか?」
深い紫の瞳がまっすぐこちらを向いていた。
「はい、自分でも知らない間に気を張ってたみたいです。紅茶もなんだか懐かしくて…。本当に何もかもありがとうございます」
「それは良かった。」
グレイヴさんは優しく微笑みながら、そう言ってカップを置いた。
「では、――覚えていることから話してもらってもいいかな?」
「はい」
ここから、私たちの”真実“が少しずつ動き出す―――


🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#グラで短編小説書いてみたい
#アナ小説第6話
第6話
二手に別れた道で選択肢が出てきた。
片方は聞いた事ある音楽。
もう片方は楽しそうな人の声。
ピロンと共に楽しそうな人の声が聞こえた方に霧がかかる。
足は自然と選択された
懐かしい音楽の流れる方へと歩きだした。
近づいて行くとその音楽はオルゴールであることに気付く。
前世というのか日本にいた頃には聞いた事はない…と思う。
なのに、ネジを巻き蓋を開け、ポロンポロンと音を弾くオルゴールを楽しげに見ていた《わたし》が頭によぎる。
そのオルゴールは○○にもらった物だった…はず。
今はどこにあるんだっけ…。
なぜか思考も足もふわふわとしていて、地に足がついていない感覚……
「………ぉぃ!ぉい!!キミ、大丈夫かい?おい!」
頬っぺたをぺちぺちと叩かれてハッと気付くと、知らない人と目が合う。
―――キャッッ!!
びっくりした私はその男性の胸を押して、仰け反る。
男性はグッと力を込めて私が彼の膝から落ちるのを防いでくれた。
そんな事とは知らずに私はキョロキョロと辺りを見回す。
夢……どこからが…。
ヒヤッと右腕の腕輪が存在を示す。
あぁ、私はまだ銀髪の女の人のまま…。
頭がハッキリしだすと、不思議そうにこちらを見ていた男性に向かって頭を下げた。
「すみません、ありがとうございました。もう私は大丈夫なので!」
と焦りながら男性の膝から降りる。
男性は優しく手を取りながら私を立たせてくれた。けど…
「こんな森の奥に、何をしに来たんだ!!危ないって、そんなことも分からないのか!!?」
全くの初対面の男性からの威圧的な言葉にビクっと体が驚き、胸の前で手を握り縮こまってしまった。
突然の事に緊張してしまって喉がつまり、言い返せない。
そう思っていると
いつもの選択肢が助けてくれるかのように現れた。
①突然の事に「そんなに怒らなくたって…」と涙ぐむ
②正直に「銀色うさぎの後を着いて来たらここに着いて…」と話す
③こんな初対面の人に話すことはない!と「分からない、覚えてない」と濁す
つづく࿔‧ ֶָ֢˚˖𐦍˖˚ֶָ֢ ‧࿔

涙ぐみ「そんなに怒らなくったって4
正直に銀色うさぎに導かれてと話す15
威圧的な人に言う道理はない!濁す3投票終了 22人が参加中

🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#アナ小説第8話
第8話
「俺はグレイヴ・ティオン」
名前がグレイヴ。やっぱりここ日本じゃないのか。
当たり前だよね。不思議なこといっぱいだし、髪の毛銀色だし。
私の名前か…
うーん…思い出せないかな。
ピロンといつもの音。
「分かんない。自分の名前もわかんないや」
へへっと笑いながら、なんだか泣きそうで下を向いた。やっぱり自分がここの世界の人じゃないと言われてるみたいで目の中の世界がぼやける。
「そうか…」
グレイヴもどうしたらいいものかと悩んでるような顔をしている。
その時、なぜか突然閃いた!
「あっ、レイミナ!レイミナなんてどう?」
「別に君がそれで良ければ、いいんじゃないか?」
さっきまでドン底みたいな気持ちだったことも忘れて、異世界を0から新たに始める気持ちに変わった私は元気いっぱいだ。
「グレイヴさん!私、レイミナ!!」
「お、おう。よろしくレイミナ嬢」
グレイヴは戸惑いながらも、我慢できずにふっと息を漏らした。
その視線はどこか柔らかく、笑うでもなくただ、小さな子供を見守るようだった。
「……元気なのは、いいことだ」
その言葉にレイミナはムッとした表情になった。
「ちょ、子ども扱いしないでください!私はちゃんとした大人なんですから!」
思わず抗議する言葉にグレイヴの口元は更にわずかに緩んだ。
「そうか…なら、今すぐ馬に乗ってほしいんだが、一人で出来るな?」
「馬!?だ、大丈夫です!できます!」
言い切ってから、レイミナは小さく拳を握った。
その姿に、グレイヴはもう一度、誰にも聞こえないほど小さく笑った。
馬はグレイヴさんの髪と同じ黒い毛色で体は艶々と輝いていた。
「わぁかっこいい!!まつ毛長いねー」
私は初めて間近に見る馬に興奮気味で近いてしまったけれど、それでも嫌がる素振りはしないので、君お利口さんだねーと心ゆくまで撫で回した。
「ノクスというんだ。あまりベタベタ触られるのは嫌いだと思ってたんだが、君にはそうではないらしいな。」
「さっ、そこに足をかけて登ってみてくれ」
グレイヴの口元はかすかな笑みをうかべた。
優しいのに少し意地悪。その顔はまるで、私がもたつくのを楽しみにしているみたいだった。
ノクスの近くに立つと、案外馬って大きいんだと言うことに気づく。
私、実は乗ったことはないんだけど、できるよね?
ブンっと目の前に選択肢が出てきた。
それは私の今の揺れ動く気持ちを代弁していた。
①できると言った手前、一人で頑張る
②少し怖いけど、頑張りたいから手を貸してくれますか?と助けを求める
③最初からやっぱり無理でした。と言って乗せてもらう

最後まで一人で頑張って乗る8
やっぱり不安だから手を借りて乗る4
怖くてできないから乗せてもらう3投票終了 15人が参加中

🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
第3話
3つの選択肢はすぐに、【③歩いて助けを求めに行く】が光りピロンと音がなった。
それからすぐ、ここから去りたいと心が叫ぶように不安が押し寄せてきた。
(ここはダメだ。気持ち悪い。)
一刻も早く立ち去りたいが、どこに向かえばいいのかも分からない。
一応、さっと周りを見渡し背後には絶壁があることに気づいた。
後ろがダメなら前しかない。
私はここから早く動きたくてしょうがなかった。
ただひたすらに前に進み、少し開けた明るい場所に着いた。
そこで初めてあの不安がなくなり、ほっと押し殺していた息を出した。緊張からかどっと汗が出る。
ポケットからハンカチを出しながらこの女性は、日本でも見た事のある乗馬スタイルの服を着ていることに気づいた。
なぜあんなにあの場所が嫌だったのか…。今でも分からないけど、やっぱりあの選択肢のせいなのかな。
①Ϸ𐑖𐊯ᑕ
②Ϣ𐊥𐋉𐌺
③ℌ𝔒𝔅ɀ
目の前にまたあの選択肢…
今度はなんと書いてあるのか読めない!!
3つあることは分かるんだけど…

うさぎ10
ドラゴン5
大きいクマ3投票終了 18人が参加中

🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#アナ小説第9話
第9話
よし、自分で頑張って乗ってみよう。
「ノクス、今から乗るからねー」
乗ったことはないので、見様見真似で声をかけ、自分自身も心の中で勇気を出せと喝を入れた。
えっと、確か左足を鐙にかけて…あとは鞍を持ってっと――
「ふっ!……できました!」
一瞬ふらついたけど、どうにか鞍の上に腰を落ち着けることができた。
「ノクス、ありがとうね!お利口さんだったね」とノクスの顔の当たりをポンポンと触った。
ノクスはふんと鼻を鳴らし、まぁまぁ
だなと言いたげにこちらを見た。
グレイヴは「ほう」と小さく声を漏らした。それはどこか楽しげな響きだった。
「本当にできるとはな。口だけではないらしい」
「当たり前です。できると思えばできるんです」
「では、そのまま歩くから、手綱を軽く持っていろ。」
「は、はい」
ノクスの上でゆっくりと動く景色を見ながら、屋敷までの小道を進む。
風が頬をなで、草木の匂いがふわりと広くがった。木々が木漏れ日を浴びてキラキラ光る。
ふと、隣を歩くグレイヴを見る。
初めて会ったはずなのに、不思議と気がつけば素のまま話していた。
雛鳥が初めて見た相手を親と思い込むって聞いたことがあるけれど――
もしかしたら、私はこの人をそんなふうに見ていたのかもしれない。
……なんだか、少し申し訳ない。
「どうかしたか?」
「えっ!い、いえ。なんでも!」
慌てて前を向くと、グレイヴが小さく息を
洩らして笑った。
「なかなか様になってるじゃないか」
「で、でしょ!」
木々の間から屋敷の屋根が見えはじめ、安堵と共に少しの緊張が私に包んだ。


🏡*ⓐⓝⓐ⸊ဂဗ◒
#グラで短編小説書いてみたい
#アナ小説第5話
第5話
銀色うさぎに追っていくとそこには光る物があった。
拾おうとするといつもの選択肢…
ピロンと音が鳴って、気が付くと手の中に冷んやりとした感触の黒の腕輪があった。
腕輪と言っても、女性でもお洒落に着けれるような細さで、黒地にシルバーで花と蔦の模様が施してある繊細且つシンプルなデザインだった。
「誰のだろ」
銀色うさぎちゃんがわざわざ案内してくれたことを鑑みると、多分…
「私のなんだろうなぁ。」
置いて行く訳にも行かず、右手に着けてみた。
しっくりきた。
今までずっと着けていたみたいに違和感がなかった。
「不思議…身体は覚えてるのかな」
右手を太陽にかざしてキラキラと光る腕輪を見ると懐かしさを覚えた。
どこからか声のような音のような何かが聞こえて、辺りを見回すと、そこには二手に別れた道があった。
右からは、いつか聞いた事のあるような音楽が…
左からは、人の楽しそうな声が聞こえた。
ポン…出たでた。出ると思ってたよ。一人選択肢に話しかける。少し仲間意識が出てきたのか、この選択肢を見るとホッとする気分になっている自分に驚いた。
まぁどうせ勝手に決まるんだろうけど、
「今回は自分にも決めさせてよ。」
と、無機質なモノに話しかけた。
当たり前に返事は無い。
さぁ、どっちにしよっかなー

右【聞いた事ある音楽が聞こえる】19
左【人の楽しそうな声が聞こえる】10投票終了 29人が参加中
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