#グラで短編小説書いてみたい #アナ小説第9話 第9話 よし、自分で頑張って乗ってみよう。「ノクス、今から乗るからねー」 乗ったことはないので、見様見真似で声をかけ、自分自身も心の中で勇気を出せと喝を入れた。 えっと、確か左足を鐙にかけて…あとは鞍を持ってっと――「ふっ!……できました!」 一瞬ふらついたけど、どうにか鞍の上に腰を落ち着けることができた。「ノクス、ありがとうね!お利口さんだったね」とノクスの顔の当たりをポンポンと触った。 ノクスはふんと鼻を鳴らし、まぁまぁ だなと言いたげにこちらを見た。 グレイヴは「ほう」と小さく声を漏らした。それはどこか楽しげな響きだった。「本当にできるとはな。口だけではないらしい」「当たり前です。できると思えばできるんです」「では、そのまま歩くから、手綱を軽く持っていろ。」「は、はい」 ノクスの上でゆっくりと動く景色を見ながら、屋敷までの小道を進む。 風が頬をなで、草木の匂いがふわりと広くがった。木々が木漏れ日を浴びてキラキラ光る。 ふと、隣を歩くグレイヴを見る。 初めて会ったはずなのに、不思議と気がつけば素のまま話していた。 雛鳥が初めて見た相手を親と思い込むって聞いたことがあるけれど―― もしかしたら、私はこの人をそんなふうに見ていたのかもしれない。 ……なんだか、少し申し訳ない。「どうかしたか?」「えっ!い、いえ。なんでも!」 慌てて前を向くと、グレイヴが小さく息を 洩らして笑った。「なかなか様になってるじゃないか」「で、でしょ!」 木々の間から屋敷の屋根が見えはじめ、安堵と共に少しの緊張が私に包んだ。