#グラで短編小説書いてみたい #アナ小説第11話 第11話 グレイヴさん達に頭を下げて顔をあげると、3人ともふわりと柔らかく微笑んでいた。「では、私がお部屋までご案内させていただきます」 ブルーノさんが一歩前に出て、すっと道を示すように歩き出す。「慣れるまではご一緒させていただきます。お困りの事があれば、いつでも声をかけてくださいませ。」 侍女のヨナさんもぱっと表情を明るくして、にこりと礼をした。 気を遣わせたかなと思いつつも、私も軽く会釈して2人の後をついて行く。 お屋敷の中は空気が凛としていて、どこからか漂ういい香りがした。 落ち着いた赤の絨毯長く敷かれた玄関ホールには二階に続く大階段があり、左右にはそれぞれ廊下が続いており、奥には部屋があるように思えた。(わぁ……おしゃれ…!これが中世ヨーロッパ風ってやつ!?こんな場所で生活するなんて、初めて!) 廊下には季節の花が生けられており、その香りがふわりと漂ってくる。 廊下に吊り下げられたランプは見たことのない形で、透き通ったガラスの中に、小さな粒のような光がふわふわ漂っている。 火が灯っているわけじゃないのに、じんわりと温かい光が広がっていて、どこか不思議で――でも、とても綺麗だった。 キョロキョロ見ながら歩いていると、横を歩くグレイヴさんとふいに目が合った。 初めて会った時の険しい顔はすっかり消え、私を様子をどこか楽しそうに見つめていた。 はしゃぎ過ぎたかもしれないと恥ずかしくなり、私は視線を前に戻してブルーノさんの背中を追った。 そのとき後ろから、「ぷっ」と笑う声が聞こえたような気がしたけれど……気づかない振りをすることにした。 前を歩くブルーノさんが豪華な模様の施された扉の前で止まった。「こちらが本日からレイミナ様がお使いになるお部屋でございます。足りないものや気になる点がございましたら、このヨナに何でもお申し付けください」「ありがとうございます。…少しの間お世話になります。」「身の回りの物も、少しずつ増やしていきましょうね」 とヨナさんも椅子を引きながら優しい笑顔で促してくれる。 部屋の中は柔らかい陽射しが差し込み、そよ風でカーテンが揺れている。「まずは紅茶でも飲んで落ち着いてください。何も覚えてないんじゃ不安だったでしょう」 ヨナさんがそっとティーカップを差し出してくれる。 湯気と共にほのかに甘い香りが広がった。 日本では紅茶はあまり飲んだことなかったのに、口に含んだ瞬間、懐かしいような胸の置くがほどけるような感覚がした。 きっとこの身体がおぼえていたのかもしれない。 気付けば肩の力が抜け、両手でカップを包み込むようにしていた。 向かいではグレイヴさんも静かに紅茶を口に運んでいた。「落ち着けそうか?」 深い紫の瞳がまっすぐこちらを向いていた。「はい、自分でも知らない間に気を張ってたみたいです。紅茶もなんだか懐かしくて…。本当に何もかもありがとうございます」「それは良かった。」 グレイヴさんは優しく微笑みながら、そう言ってカップを置いた。 「では、――覚えていることから話してもらってもいいかな?」「はい」 ここから、私たちの”真実“が少しずつ動き出す―――