【連続GRAVITY小説】〜Gravity-Link〜第七話:深海の指先、静かなる共鳴【 都内・ももたろうの自宅ベランダ / 23:20 〜 】 夜風が冷たい。ももたろうは、震える手でスマートフォンを握りしめていた。「……あきっくすさん、ごめんなさい。今夜はどうしても、一人でいられなくて」 いつもは快活な彼女の声が、今は消え入りそうなほど細い。「会社では『期待の星』でいなきゃいけない。テニスのコートに立てば『勝てる選手』でいなきゃいけない。でも……もう、中身が空っぽなんです。本当の私は、こんなに弱くて、ボロボロなのに」 彼女が堰を切ったように話し始めたのは、誰にも見せられなかった「理想の自分」と「現実の自分」の乖離だった。【 あきっくすルーム / 同時刻 】 ルームの主要メンバーたちは、マイクを切り、ただ静かにももたろうの言葉を受け止めていた。けーぞーも、テスターも、Yukariも……それぞれが自分の「鎧」を思い出し、胸を痛める。 あきっくすは、遮ることなく、彼女の呼吸が落ち着くのをじっと待った。「……ももたろうさん。ここは、あなたのコートじゃない。負けても、動けなくても、誰もあなたを責めない場所ですよ」 その時だった。 コメント欄に、流れるような、けれど一際丁寧なメッセージが静かに現れた。『……お疲れ様です、ももたろうさん。』 新しく入室してきた、葵からの言葉だった。『ずっと、一列目で戦ってこられたんですね。でも、誰かの期待に応え続けることより、自分の心が壊れないことの方が、ずっと、ずっと大事な時があります。今夜はただ、その重たいラケットを地面に置いて、ここで皆さんの声を聞きながら、深く呼吸をしてみてください。』 あきっくすがそのコメントを静かに読み上げると、ルームの空気がふっと柔らかく緩んだ。【 東京・葵の自宅 / 同時刻 】 葵は、暗い部屋で自分の打った文字を見つめていた。 普段は自分自身の「寂しさ」に蓋をして生きている彼女だが、ももたろうの悲鳴を聞いた時、指が自然に動いていた。 あきっくすの優しい読み上げが、葵自身の心をも、かすかに癒やしていくのを感じていた。(つづく)#連続GRAVITY小説 #第7話 #あとふたり主軸になってない#もう出演者様は全て出演させていただきましたここから本題ですね#storysong