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骸鳥(工作員)
夜には夜の作法があって
昼に起きている人間は
夜には寝なさいと怒られるけれど
ままならぬ夜を楽しむ術も
とうに忘れたから寝るよ
せめて夢には夢の楽しみを
このまま死ぬのは嫌ですか?
自分だけが淋しい季節ですか?
恋はもう終わったのですか?
隣の家の耳の遠い爺さんは
ずっと1人で暮らしているけれど
きっと床下に大金と
軍人だった頃の日記と罪を隠していて
それをどこかに捨てようとしているに違いない
いつもと違うルートを選んで散歩したら
見たことのない大きな橋があって
橋の上から川面を覗き込んだら
哀しそうにこっちを見ている●↑☆▽※と
目が合ってしまったから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
朝食には甘い卵焼きを
昼食には鮮烈な酸味のサラダを
夕食には控えめな塩味の魚を
寝る前にはチーズをひと欠片食べたから寝るよ
夢で濃いコーヒーを飲んで目覚めよう
輝いている夜明け前はもう夏ですか?
花びら千切って祈るのが恋ですか?
犬神憑きを治したいですか?
テーブルの上の球体関節人形が
あり得ないポーズでこっちを向いて
直視する事を避けてきた現実を
目の無い顔で見透かしてくる
押し入れの奥に隠してある
小学生の頃の絵日記に
無邪気ゆえに書いてしまった
■☆※○⤵の秘密を思い出してしまったから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ
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骸鳥(工作員)
季節感のない髪型の中年男性が
せっかく暗くした部屋の照明を点けたから
やたらと騒がしくて何のための宴かわからない
乱痴気騒ぎが始まってしまったから寝るよ
せめて夜には静かな夢を
草に埋もれて寝ますか?
街を眺めますか?
はじけて飛んで行きますか?
重力から解放されたくて
どこの国の言葉でもない歌を
朝から晩まで歌い続けたヒロくんは
朝一の電車で遠くへ引っ越してしまい
緑色のサンダルと歌だけが残った
頭から被った布団の中に作った
真っ暗な夜中よりさらに暗いほら穴で
※●▽←☆と遊んでいたら
右手の中に知らない果物の味がする
紅いキャンディがあったから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
三軒むこうの廃屋の屋根に
いつの間にか猫の死骸があって
それは三毛猫で
きっと大好きな誰かの近くで
死ぬ事を望んだ結果だと思ったから寝るよ
ほんの少しでも高い所へ行けたらいいね
風になりたいですか?
空っぽだったらみんな悪くないですか?
赤いワインで染めますか?
子供の頃だけ見えていたとんがり帽子の小人が
家を留守にしている間に来たらしく
小さな小さな封筒と小さな小さな箱を
玄関に置いていった
重かっただろうに
焦って剥がしてしまった瘡蓋の
治りかけの傷口に塗ったホシダ堂の軟膏は
毎朝キレイに拭き取らないと
※●▽↔◇になってしまうから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
子供の頃の火傷の痕を
何気なくじっと見ていたら
少しずつ形を変えて
何かになろうとしているから寝るよ
仲良くなれる何かにならないかなぁ
今すぐバスに飛び乗りますか?
暗い言葉が取り憑きますか?
隠したって無駄ですか?
電源を落とした後の液晶画面には
垂れ流し続けた虚構と夢の残滓が
およそ2分間漂っていて
それを静かに捕まえてプランターに植えれば
来年の春にはニセモノの薔薇が咲く
海外旅行の土産にもらった
チョコレートの包み紙を
栞代わりに挟んでおいた長編小説は
引っ越しの時▼☆→※○に片付けたはずなのに
無くなってしまったから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
いつも日付が変わる瞬間に
西の山から聞こえてくる
うなり声のような低い音が
今日はまるで
子守唄のように聞こえるから寝るよ
これで子供に戻れるならいいのに
泥水は美味いですか?
長い夢に巻かれていたいですか?
なまずのように美しいですか?
いつか来るはずのその日が
実際に来てしまうのが怖いなら
何枚かの木の板を丁寧に丁寧に磨いて
箱を作ってその中で寝ればいいと
いつか誰かが言っていた
押入れの中から出てきた
小学生の頃の音楽の教科書には
ドレミの音階の中に何故か『ヨ』があって
鍵盤ハーモニカでヨを鳴らしたら
呼び出してしまった☆◎※◆⬅が
どうしても帰ってくれないから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
吐き出した煙がユラユラと輪を描いて
子供の頃に見たやけに暗い映画の
人が去ってゆくシーンを思い出したから寝るよ
消えない人はどこにいるのだろうか
逆立ちすれば答えがわかりますか?
人形が燃え尽きたら食事にしますか?
人に非ずの血がさわぎますか?
森の奥の卓球台に
たっぷりの不安を入れた珈琲と
過去の栄光を塗りたくったトーストを
ご用意しておきましたので
ひれ伏してお召し上がりください
明日はポーニャ飛びで最も重要な
2歩目の踏み込みで
空中姿勢を上手く保つための
※◎◇⬆☆を捕まえに行くから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
約半年ぶりに引っ張り出した
長袖のパーカーの袖口に
見覚えのない汚れと不安と後悔が
焦げ茶色にうずくまっていたから寝るよ
汚れだけが落ちればいいのにね
海は死にますか?
果てしない話ですか?
気がつけば朝が来ますか?
急な目まいで地面に手を着いた時
折れそうな心と立ち上がろうとする気力の
間に生じる温度差を求めよ
ただし朝食は食パン3枚とコーヒーとする
とある日曜日
子供たちが遊ぶ公園にやって来た行商人が
大きなカバンから⬆○☆※△を出して
子供たちの幾人かを大人にしてしまったから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
切った爪がパラパラと
ゴミ箱に落ちてゆく音で
窓の外にいた子供の幽霊が
こっちに気づいて部屋を覗いてきたから寝るよ
あっちとこっちが繋がればいいのにね
月はいよいよ満ちましたか?
心ない言葉だけがあなたを取り囲みますか?
もっと広い海がいいですか?
金魚のいなくなった金魚鉢に
ぽつんと残された水草は今日も
必死に二酸化炭素をかき集めて
虚ろな酸素と虚ろな記憶で
閉鎖空間にささやかな海流を作る
角のたばこ屋の婆さんが
とうとう店を閉めるらしく
狭いカウンターに看板代わりに置いていた
★◎△→※だけを抱えて
寂しい挨拶をしてきたから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
ずっと一緒に歩いてきたのに
気づいたらいなくなっていて
その瞬間を見ることもできなかったから寝るよ
最後まで何もできずにごめんなさい
終わって始まる物の痛みですか?
錆びたナイフで喉を突きますか?
何もかもが同じですか?
メインストリートから1本外れた裏通りにある
フリッツ爺さんのガラクタ屋は
少年たちの夢の空間だったが
山積みのガラクタの中から
黄色い箱を手にとった少年だけが
3日後にはいなくなる
昨日の朝からずっと口ずさんでいた
名前も知らない歌の曲名を不意に思い出して
『▶☆↓◎※』と思わず声に出したら
それを聞きつけた猫が
溶けて流れ出したから
ぼかぁ、いつものように騒がしく寝るよ

骸鳥(工作員)
↑のタグを使ったらその夜はもう投稿しない…というオレルールがあるのだが
今日はソレを初めて破る
先ほどの投稿とここ数日の投稿を見て思った
『あぁ…ちょっと壊れてきてるなぁ』
…と
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