そのひとことだけで、そのまばたきひとつだけで、ガラスがぜんぶ透明になってしまう気がした。いつまでも上手に繕ったつもりの表皮を讃えて、それを綺麗だといえる世界で、それは、そのままで反射し続けるものだと思い込んでいた。唐突な澄んだ空気のおかげで、この世界は終わることもなく、わたしの思う美しさが、美しさだったことを、靄が灰色にした。昨日までの贋作は、わたしの手のひらで擦れば、簡単に。#現代詩 #詩 #文学 #エッセイ #それよりも綺麗なものをみつけて