「もっとたかく。もっとたかく。」──『くじらぐも』より「天までとどけ、一、二、三。」輪になって、手をつなぎ、息を合わせてジャンプする。わくわくが空へと伸びていく、その瞬間が好きだった。あのお話を読んで、私は、何度も何度もくじらぐもに乗った。くじらぐもはゆっくり動くけれど、頬に触れる風ははやく、ひんやり冷たい。「空ってこんな感じなんだ」「高いところこわいはずなのに、こわくないのなんでだろう」くじらぐもの上で、いろんなことを考えた。ジャングルジムの生ぬるい感触、鉄っぽいにおい。降りたときの地面の熱。そこにまざる給食のにおい。その想像の中で、私は気づいていた。友達がいること。見守ってくれる先生。ジャングルジムを設置しようと考えてくれた、きっと偉い大人。給食を作ってくれる人。家で待つお母さん。非日常の体験(想像)のあと、降り立った日常の中に、当たり前にある“愛”が尊く、有り難いことだと感じていた。遠い、小学生の頃の記憶。#教科書#そこにある愛#残響するフレーズたち#心に響く言葉#ことばりうむの星