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きゆ。

きゆ。

まあ、いいか。

忘れてしまう、ということは特別重要なことでは無いのだろうと完結してしまう。
普段覚えていないものを覚えていて、少し気になっただけだろう。

上に背伸びをして、デスクワークで疲れた体を伸ばす。

「よし」

あともう少し、頑張るかなぁ。

今日はどんな夢を見るだろう。
どんな夢を見ても、私はすぐに忘れてしまうんだろうけど。

#こばなし
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きゆ。

きゆ。

少しずつ色がはっきりとした物になっていって、見慣れた、赤だったり青だったりと普段よく見る色が映されていた気がする。

それから見慣れた色が混ざって、歪んで、散りばめられて、だんだん1つに収束して、点になって、黒、そうだ、黒になっていって、その、中心はーーーー。

ピリリリピリリリ

びくり、と音に体が反応する。
タイマー、かけていたんだった。
もう戻る時間か、と席を立ってコーヒーの入っていたカップの片付けをする。

どこまで思い出したっけ、と思った時にはもう遅い。
夢は霧散していて、掴みどころのないものとなっていた。

#こばなし
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きゆ。

きゆ。

後輩がいなくなって、少し静かになった休憩室で手の中のカップを揺らす。
コーヒーが入ったそれを音が立たないようにコースターの上に置くと、ふぅと軽く息を吐く。
浮かんでくるのは、夢のことばかり。
別に何か意味があるような夢だったとは思えないが、どこか気になるのだ。

なんでかな、不思議。

普段は夢の内容も覚えていなければ、夢も見ないような自分が、偶然見た夢に心囚われているだなんて、おかしな事もあるなと思う。

夢は、どのように終わったんだったか。

色々な色が映された後は、天井か空だかはどうなったのか。

ぼんやりとした夢の輪郭に触れるように、少しずつ記憶の端を手繰り寄せる。

#こばなし
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きゆ。

きゆ。

ムッとした顔をすると、すぐにフォロー紛いのことを言われた。
あっ、と小さい声がしたかと思うと狭い休憩室で彼女はバタバタと慌てだした。

「どうかしたの?」
「明日の朝イチミーティングでしたぁ!まだ準備、全部は終わってなくて……このままじゃ今日も残業かもです…!」
「あーあー、だから早くしときなよって言ったのに」
「せんぱぁい…!」

後輩は大きな瞳をうるうるさせながら、こちらを見たが、その手には乗らない。
どうせ目薬か何かだろう。

「目薬の乱用しないの」
「ちぇっ!バレちゃいました?」

ほらね。
早くしなよ、と声をかけると、はーいと返事が返ってきて後輩は休憩室の外へ出ていった。
#こばなし
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きゆ。

きゆ。

夢を見ていたようだった。
景色がぐわぐわと変わっていく様子を、私はただ眺めていた。
空のような天井のようなそこに映し出される色は、見たことあるような無いようなものばかりで少しもやもやした。

「天井を眺める夢、なんて夢占いで調べて出てくるかしら」

ついつい思い出した夢の内容が気になってそう呟くと、近くにいた後輩から声をかけられた。

「先輩、夢占いなんて見るんですね?」

彼女の声はどこか弾んでいるようで、今日は機嫌が良いらしい。

「まあ参考程度にね」
「可愛くない言い方ですね、でもま、夢占いなんてそんなもんですよねぇ」

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