《二重人格 思い出 ただいま》物凄く、疲れ果ててしまった。ベッドの上で、着替えもせずに、宙を見る。成人して、仕事をしてからというもの、生きた心地がしなかった。娯楽をする余裕はなく、毎日のように、朝起きて、出勤し、退勤し、疲れて倒れるように眠る。今日はいっそう酷くて、着替える余裕すらなくて、そのまま、意識を落とした。……不思議な、夢を見た。子供の頃の夢だ。無邪気な、あの頃の、思い出が、映画のように流れていって。私はそれを、第三者視点で眺めていた。目が覚めて私は、何か、無くしていたものを取り戻したような気分になって。普段よりも、明るい気分になった。身体が軽い。心が跳ねるようだ、とても清々しい!まるで私のものでは無いようだった。…そういえば、夢は、不思議、というか、不可解な点があった。心当たりがない思い出が、沢山あったのだ。半分以上はふっと思い出せるのだが、残りは、どれだけ思い返しても思い出せない。その大半が、私とは思えない行動を取っている。まるで「私」ではないようで…『』「…?」ふと、声が聞こえた。幼い子供…いや、幼い私の声だった。でも、とっても明るい声色…ちょうど、思い返せない夢の時の、私のような声で…『ただいま』と。#ベリーショートストーリー#テーマから広げる創作#お題箱より