「嬉綴結」先輩が声をかける。「先生ー、あおさん来ましたー」先生は笑って迎えてくれる。「まぁ、今日も寝ちゃったかと思った。よく来たね」──ただ、お稽古に行くだけで、こんなふうに褒めてくれる人たちがいる。思い出すのは、あの夜。仕事から帰って、軽く食事をすませ、準備も整えて、あとは出かけるだけだったのに。ソファに腰を下ろした「ちょっと」が気づけば夜中の二時に変わっていた。悪気なくすっぽかしたお稽古。それ以来、私は“寝ぼすけあおさん”と呼ばれている。紐結びはまだ手こずる。帯揚げも、帯締めも、十回に一度くらいしか形にならない。けれど、先生も先輩方も、根気よく教えてくださる。こんな場面もあった。帯の締め方を教わっているとき、どうしてもくしゃみが出そうになった。説明を聞き逃したくなくて、必死でこらえる。けれど──「へっぶしっ」変なくしゃみが飛び出してしまった。「あおさんっ……」先生が崩れ落ちる。「かわいいのに、くしゃみがおじさん!」「へへ💦」笑い上戸の先生の声に、稽古場がやわらかく揺れた。思い出すたびに、頬がゆるむ。不器用な私を、丸ごと受け止めてくれる時間。──なんと幸せなお稽古だろう。はやく、凛とした姿で着られるようになりたい。けれど今は、拙い手つきも、この道のりを楽しんでいる。#着付け#お稽古の時間#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星