【連続GRAVITY小説】〜Gravity-Link〜第四話:雪夜のダイレクトメッセージ 新潟の夜は、相変わらず音を吸い込むような雪に包まれていた。 あきっくすのルームが閉じ、スマートフォンの画面が暗くなった後も、けーぞーはカウンターの椅子から動けずにいた。 ふと、画面が震える。通知バーに表示されたのは、あきっくすでも、常連の誰かでもない、テスターからのダイレクトメッセージだった。『けーぞーさん、さっきはありがとうございました。あんなに自分のことを話したのは、数年ぶりかもしれません』 けーぞーは、まだ冷えたままの指で画面を叩く。『いいえ、こちらこそ。あなたの「空白」の話を聞いて、私の止まっていた時計も少しだけ震えた気がするわ。……実は私も、独りでこの雪を見ているのが、少しだけしんどかったの』 画面の向こう、遠く離れた場所で、テスターが小さく息を吐く気配がした。『新潟は、そんなに雪がすごいんですか?』 けーぞーは、カウンター越しに見える窓の外の景色を写真に撮り、彼に送った。 街灯の下、オレンジ色に照らされた、重たそうな湿った雪。『綺麗ですね……。でも、どこか寂しそうです』 テスターからの返信は早かった。『私は今、あきっくすさんから貰った「アイコン」を眺めています。これを見ていると、自分の抱えている虚無感が、少しだけ「意味のあるもの」に思えるんです。けーぞーさんは、あきっくすさんの言葉をどう感じましたか?』 けーぞーは、使い込まれたグラスの縁をなぞりながら考える。「……重力よ、きっと」 彼女は独り言を、そのまま文字にして送った。『私たちはみんな、あきっくすさんっていう「重力」に引き寄せられた、迷子みたいなもの。でも、引き寄せられた先で、こうしてテスターさんと出会えた。それは、偶然じゃない気がするわ』 その夜、二人のメッセージのやり取りは、雪が止むまで続いた。 家族にも、職場の同僚にも、ましてやリアルな友人にも見せられない「剥き出しの心」。 GRAVITYという宇宙に漂う二つの孤独な星が、あきっくすという恒星の周りで、初めて互いの光を認識した夜だった。(つづく)#連続GRAVITY小説 #第4話#いろいろな出会い方 #気軽にコメントください #storysong