#2世と器#戸ヶ谷新 先生 おやおやおやおや。闇に囚われた少年たちが夜明けに向かって足掻き進む姿・・・なんと、素晴らしい。宗教2世の春一と神の器に選ばれた永真が紡ぐ恋物語で、大人たちの勝手な信仰を押しつけられる理不尽さ・器として永真としての個人を抹消される悍ましさが刺さります。春一と知り合い学生・人間らしい経験を初めてできて喜んだり感動の涙を流す永真の境遇が不憫でならず、〝永真〟として見られないことに諦観しながらも現状から抜け出したいともがく永真の姿や永真のことを知って春一や彼の友人たちも宗教の檻に閉じ込められた永真を救おうと動いていくのが胸熱。実の母親であっても話が通じ合わない・言葉が届かない不気味なもどかしさ・・・宗教にのめり込む母親の姿に抱く春一の気持ちが切ない面があったり、春一自身も恋愛感情を持てない〝アロマンティック〟な恋愛的指向があり、春一に対して抱く永真の恋愛感情と永真に対して抱く春一の気持ち・・・形は違うけれど一緒にいたい気持ちは同じで、ふたりが辿り着いた夜明けに涙腺が崩壊するレベルでとてもよかった。宗教モノってバドエンまたはメリバなイメージがありましたが、こちらの作品はそのイメージを払拭するインパクトがあり、春一と永真の関係性や器ではなくようやく永真として生きることができる救済がたまらなかったです。作品の雰囲気がダーク過ぎて無いのは夜明けに向かう彼らの姿が希望に満ち溢れているからかもしれませんね。どうか・・・どうか春一と永真が進む未来にたくさんの祝福がありますように。