#GRAVITY百物語#怖い話苦手な方はスルーしてください 「旧トンネル」①私が高校生だった時のお話。その時は富山県に住んでいて、街外れの田舎にいたものですから、登下校は自転車で片道40分と長い道のりでした。当時、通学路となっていた道に、そのトンネルはありました。老朽化が進んだため、近くに新しいトンネルができて、将来的に取り壊しの決まったそのトンネルは、学生の間で「旧トンネル」と呼ばれていました。「旧トンネル」は、心霊スポットとして有名でした。「あのトンネルの前にある電話ボックスに、女の幽霊が出る」と噂になっており、そういった場所には近付かないことを信条としていた私には、縁のない場所でした。少し遠くはなりますが、新トンネルを抜ければいいのですから、使う必要のないトンネルでした。そう、あの時までは。その日私は、珍しく寝坊してしまいました。当番の仕事がありましたので、急がねばなりません。よく晴れた朝だったので、安心感があったのでしょう。やむを得ず「旧トンネル」を通ることにしました。噂の電話ボックスは見ないようにして、トンネルに入ります。入った時、何か違和感を感じました。でも、何なのかわかりませんでした。向かい側には遠くからこちらに、電話(当時はまだ、二つ折りの携帯電話が主流でした)をしながら歩いている女性が見えました。(あ、良かった、私以外に人がいる!)と、心の中ですこし安心しました。トンネルは長く、直線で、抜けるまで2分ほどかかります。長く暗いトンネルは、やはり心細かったのです。#怖い話#2に続く#怪談