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ミラノ開会式、印象付けた「新しい五輪」 1都市で困難に…広域開催は“壮大な実験”のスタート
荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima

ミラノ五輪の開会式【写真:ロイター】
連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」第2回
 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」ではミラノ・コルティナ五輪期間中、連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」を展開。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。第2回はミラノ五輪の開会式について。

 ◇ ◇ ◇

 開会式は「新しい五輪」を実感させられる演出だった。メイン会場のミラノ・サンシーロでマライア・キャリーが美声を響かせると、イタリアの文化や伝統を「これでもか」と次々と詰め込んだ演出が続く。「新しい五輪」を強く印象付けたのは、4会場で同時に行われた入場行進だった。

 スケートなど氷競技が行われる都市部のミラノ、雪競技のコルディナ・ダンペッツォ、プレダッツォ、リピーニョで同時に選手が入場を始める。これまでは入場行進は1か所に集まって行われるのが恒例だった。氷競技と雪競技の会場が離れている場合は移動の負担が考慮されて参加できない選手もいたが、各会場での分散行進で選手の負担は軽減された。

 テレビでは次々と画面が切り替わってストレスは感じなかったが、各会場では戸惑いもあったようだ。入場行進の先頭は五輪発祥のギリシャと決まっているが、サンシーロでは選手不在で、国名が書かれたプラカードだけ。もちろん、大型ビジョンでは他会場の様子も見られたが、プラカードだけの「選手団」が多かったのも事実だ。

 もともと夏季大会と比べて選手数は圧倒的に少ない。24年のパリ大会には約1万1000人が参加したが、今回は約2900人と4分の1程度。92の国と地域のうち半数は5人以下、1人の選手団も多いから、各会場が「すかすか」になるのも仕方がない。

 それぞれの行進をバーチャルでメイン会場に映し出し、選手全員がいるような演出にすればとも思った。コスト面など課題はあるかもしれないが、技術的にはそれほど難しくないような気もする。夏冬を問わず選手たちが「オリンピックを感じる」と口をそろえる開会式に、多くの選手が参加できるとすれば「アスリートファースト」になるのではとも思う。

 聖火もミラノとコルティナで同時に点火されるなど、五輪史上初の「複数都市開催」を強調する内容だった。開会式のテーマでもあるアルモニア(調和)は、ミラノとコルティナという都市部と山間部の調和でもあった。

 24年の夏季パリ大会まで、五輪は基本的に「1都市」で行われてきた。サッカーのW杯などが「国」単位で開催されてきたのに対して、五輪は「都市」。国の枠を外し、競技の枠を超えて1つの都市に集まることに五輪の意味があった。


開会式に登場した日本代表選手団【写真:ロイター】
肥大化した大会、1年で支えきれず…IOCは方針変更
 もっとも、1つの都市での開催が困難になるほど、五輪は変わっていった。競技数や参加選手などで肥大化した大会は、1つの都市で支えきれなくなった。開催地の負担が大きく、環境破壊などの問題もあって立候補する都市も減った。IOCは方針を変更して複数都市での開催を推奨。「持続可能な大会」のモデルとなるのが、今回のミラノ・コルティナ大会だ。

「1都市に集う」ことこそが、五輪だと思ってきた。様々な競技が一堂に会することは、総合競技大会ならでは。それぞれの競技が別々の場所で行うなら世界選手権でいい。とはいえ、理想通りにいかなくなってきたのは確か。ならば、同時期に複数の都市や国で開催してバーチャルにつながればいい。

 フィギュアスケートの坂本花織は日本選手団の結団式の時、複数都市開催に触れて「チームジャパンとしてSNSでつながるようにしたい」と話した。物理的につながらなくても、最新のテクノロジーで精神的には1つになれる。それができるなら、1都市での開催にこだわる必要もなくなる。

 開会式メイン会場のサンシーロは「サッカーの聖地」でもある。イタリアを代表するACミランとインテルミラノという強豪2クラブのホーム。聖火リレーでは、ミランのフランコ・バレージ氏とインテルのジュゼッペ・ベルゴミ氏という82年W杯優勝メンバー2人も登場した。

 アジア人として初めてセリエA選手となったカズ(J3福島)が94-95年シーズン開幕戦でバレージと接触して骨折したのも、サンシーロだった。ミランの本田圭佑とインテルの長友佑都がミラノダービーを競ったのも、ここサンシーロだ。

 1990年のW杯イタリア大会の開会式が行われたのも、サンシーロだった。連覇を狙うマラドーナのアルゼンチンがカメルーンに敗れた開幕戦。キックオフの前に行われたショーは、最新のファッションに身を包んだモデルがピッチの回りを歩く華やかなさで「イタリア」を感じさせた。

 いずれも古い話だ。W杯の参加国は当時の24から48と倍増し、今年の大会は米国、メキシコ、カナダの3か国共催で行われる。当時世界最強と呼ばれたセリエAは低迷し、イタリア代表は3大会連続でW杯出場を逃すピンチにある。

 時代は変わる。スポーツ界も変わる。もちろん、五輪も。IOCのカースティ・コベントリー会長は、就任以来初の開会式スピーチで「持続可能性を示す新たなモデル」と自信たっぷりに話した。壮大な「実験」となる広域開催。新しい五輪の形を模索する大会が始まった。(荻島弘一)
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