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私立一貫校を取材していると、偏差値によって教育の内容が違ってくるのがわかる。偏差値60以上の学校の場合、探究学習という言葉が普及する前から、調べ学習をさせて、論文を書かせるようなことをさせていた。
例えば、海城学園に行った時も所狭しと専門書が並んでいた。文献を読んだうえで外に出てフィールドワークをする生徒もいた。難関校の場合、基礎学力があるのが前提なので、大学進学後の予習としてそういった調べ学習をさせていく。
これが偏差値50ぐらいの高校になると「専門書を読ませて論文を書かせるようなことはしないが、5教科の学力はしっかりと上げていく。テストで合格点が取れないと補習がある」という方針になっていく。つまり、中堅校の場合、まずは基礎学力を固めることが優先される。
このように本来、探究学習は基礎学力があって当然の生徒たちが、指導力がある教師の下で取り組むべきものだった。それが今、すべての高校生に必須になったことで、不具合が生じているのかもしれない。
難関高校でも新規に探究学習を始めたところでは、生徒が外部で「やらかし」をし、学校にクレームが来ることもある。こう書くと、「それならば、ちゃんと事前に調べ、マナーもちゃんとしていれば、専門家などに協力を依頼しても迷惑にならない」と思う人もいよう。
しかし、それも一概には言えない。ある自治体の職員が言う。
「かつてから地元の高校生が調べ学習のためにうちに来ることがありました。年に2回や3回だったら、高校生と話ができるのはこちらからしても参考になるし、快く引き受けていました。ところが探究学習が必須になって、大勢、押し寄せてくるようになって頭を抱えています」
自治体の職員は地元の高校生が探究学習の一環でやってくるというならば、協力をせねばならないが、依頼の数が多くなれば対応は負担になる。
すべての高校生に一律的に探究学習をさせる弊害か
今、文部科学省は「個別最適な学び」を推進している。例えば、小学校で講義式の授業の後に、個々の学力に合った問題に取り組ませる。塾で先取りをしている子にはレベルの高い問題を解かせ、初めてその内容を学ぶ子には基礎的な問題をさせる。
この「個別最適な学び」の視点で考えると、探究学習を一律的に取り組ませるのは不思議である。また事例も少ない中、学校現場任せで探究学習を進めてきたことで、さまざまな弊害が生じている。その1つが専門家などの外部への負担で、「探究公害」という言葉が拡散されつつあるのではないだろうか。
現在、改訂に向けた議論が始まっている次期学習指導要領でも「質の高い探究的な学びの実現」が掲げられている。今後も探究学習をカリキュラムの柱としていくならば、こうした課題にも一つひとつ向き合っていかねばならない。

臼井優
1/29(木) 8:00 Yahooニュース
2022年度からスタートしている高校の学習指導要領で「総合的な探究の時間」が導入され、いま高校生には探究学習が必履修となっている。
さらに、この探究学習の成果を大学入試で評価しようという流れにあり、入試全体の約4分の1を占めるまでに増えている総合型選抜の書類などで積極的にアピールする子も多い。
一方で、こうした高校生の探究学習が「迷惑行為」と揶揄されることもあり、SNS上では「探究公害」というワードまで見受けられるようになっている。いったい何が起きているのか。
大学教員や専門家が「高校生の指導」なぜ?
25年12月12日のAERA『総合型選抜に有利だから?…高校の「探究学習」で大学の研究者たちが疲弊 話がかみ合わず「1人に10時間」かかったケースも』という記事が話題を集めた。
高校生が大学教員に「探究学習で〇〇について調べているので教えてほしい」と連絡をし、結果、相手の時間を奪うケースが増え、大学教員側が頭を抱えているという。
これは、私も取材先の大学で何度か聞いた話だ。「高校が探究学習の指導を大学にしろと言ってくる。大学の学生への指導で手一杯なのに、なぜ外部の高校生の指導をやらなくてはいけないのか」と困惑していた。
大学教員以外にも、探究学習の協力で高校生と接して困惑する組織や専門家も増えてきている。今回はその実情を取材し、探究学習の問題点を考えていきたい。
久里浜医療センター精神科医の西村光太郎さんは依存症の治療を行っている。そのため、高校生から「依存症についての探究学習をしている。インタビューさせてほしい」という依頼が来たことが過去に数回あった。
「高校生が医療に興味を持ってくれるなら協力したいと思っていました」(西村さん、以下同じ)。そのため、以前は協力を引き受けていたが最近は断っているという。
「オンラインで話す時に最初に自己紹介もしてくれないので、なんと呼んでよいのかわからない方もいました。何より本当に興味があるのかなという印象なのです。積極的に質問もしてこないし、ただ、参加しているだけというケースもありました」
また、実際に基礎的な知識不足も気になったという。
「アルコール依存について説明する中で、アルコールを分解する分解酵素の話をしたら、『酵素って何ですか』と聞いてきました。アルコール分解は高校の生物の範囲ですし、それがわかっていないとこちらも説明するのは大変です」
分解酵素は中学までに習う範囲だ。アルコール依存症について探究し、医師に話を聞くならば、最低限の知識が必要となる。このようなことが複数あったため、西村さんは高校生の探究学習については基本、協力をしないようになった。
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早く明日の夕方になーれ。
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