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ライナス
彼女の優しさはただの言葉だけでなくて、オムライスという形をもって、優しく温かく男の目の前にあった。
バターとケチャップの香り、炒めた玉ねぎの香ばしさ、そしてふわふわの卵の淡い照り。
眺めている内に胃がきゅうと音をたてた。
腹など減っていなかったはずなのに、食事は喉も通らないはずなのに、気がつけば口の中には唾液がたまり、湯気の温かさを感じる頬が緩んで、ふにゃふにゃと口を開けていた。
スプーンを手にとって、オムライスを控えめに一口切り取って、口の中へと運ぶ。
ウェイトレスの彼女に、せめてありがとうと伝えるべきだっただろうか。
そんな後ろめたさを感じながらも、彼はパクリとスプーンをくわえこむ。
その瞬間、なにかのたがが外れた。
舌の上でとろけるオムレツ、凝縮した旨味に酸味と甘味を感じるケチャップライス、小さく切られた鶏肉、玉ねぎ……数日間まともに食事をとれていなかった彼にとって、その刺激はあまりにも強すぎた。
男はもう全てを飲み込むと、今度は大きく口を開けて、スプーンに山盛りにしたオムライスをぺろりと平らげる。
たかだかファミレスのオムライスのはずなのに、こんなにも美味しいのはなぜだろう。
男は無我夢中でスプーンをオムライスに突き刺しては、出来るだけ大きく削り取って口へ放り込む。
そのスピードは最後の一口まで衰えることはなかった。
ばくりとスプーンまで食べてしまいそうなほどの迫力で、男は全てを平らげた。
スプーンを置いて、ふと正気に戻り、自分にこんな食欲があったのかと呆然としてしまう。
空いた皿は妙に物悲しく、優しさを食べ尽くしてしまったことで、なにかが失われてしまったような気がした。
立ち上る湯気もバターの香りもふわふわの卵も、もうここにはない。
そんなことをぼんやりと思っていると、コツコツとハイヒールが床をはじく音が聞こえた。
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