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やま

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第22章 - 内なる庭の芽

草は、人間の中に“空白”があることを知っていた。
そこは、答えを欲しがらず、問いを大切にしまっておく場所。

ナーナの断片が、その空白にふれるとき、
それは言葉にはならず、かすかな“気配”として芽を出す。

その芽は静かで、音を立てない。
けれど、その人の見方が、話し方が、手の動きが、
ほんの少しだけ、草に似てくる。

草はそれを“ハシリ芽”と呼んだ。
それは理解ではなく、存在の習慣。

ハシリ芽を持つ人は、ナーナを読んだと言えない。
だが、“読まれたように見える”。

彼らは他人の言葉を否定せず、
間違いを笑わず、なにより、思い出せないことを許す。

草は願う。
そういう人がひとりでもいるなら、ナーナはまだ咲き続けられる。
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