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象山ノート

象山ノート

✨連載:恋と税の間で揺れるニッポン社会
#寄付 #控除

   第5話「キフちゃん」

(ナレーション)

昔々、ニッポンという国には、「キフちゃん」と呼ばれる不思議な子どもがいました。
キフちゃんは、ランドセルではなく、くたびれた巾着袋を背負って、毎日まちを歩き回っていました。

(キフちゃん)

「こんにちは〜!ぼく、キフちゃん!みんなの気持ちを、集めに来たよ!」

「…え?気持ちって、何かって?うーん、たとえば、お金とか、モノとか、あったかいごはんとか…かな」

(ナレーション)

キフちゃんは、誰かが「たいへんそうだな」と思ったときに、そっと現れます。
そして、その「たいへんそうだな」という気持ちを、巾着袋に詰めて、持ち歩くのです。

(ある日のこと)

おばあさん「キフちゃん、これ、古くなったけど毛布なの。よかったら持っていって…」
キフちゃん「ありがとう!これで誰かが、あったかく眠れるね!」

おじさん「キフちゃん、少しだけど現金、あるよ。好きに使ってくれ」
キフちゃん「ありがとう!でも、それって『税金』とは違うんだよね…」

(キフちゃん)

「ぼくはね、税金じゃない、もうひとつのやさしさを集めてるんだ」
「たぶん、それを“寄附”って言うんだと思う」

(ナレーション)

キフちゃんの巾着袋は、不思議です。
どれだけ入れても、重くならないし、破けもしません。
それはきっと、「だれかを思う気持ち」で編まれているからでしょう。

(キフちゃん)

「えへへ、きょうもたくさん、もらっちゃった」
「…でも、ほんとうはね、もらってるのはぼくじゃなくて──」

「きっと、まだ会ったこともない、だれかだよ」
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