と云いながら、一枚の紙切れを渡わたしました。ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函はこをとりだして向うの電燈のたくさんついた、たてかけてある壁かべの隅の所へしゃがみ込こむと小さなピンセットでまるで粟粒あわつぶぐらいの活字を次から次と拾いはじめました。
現代言葉の流行り廃りが早過ぎて追っつかないから捉えて使うのも一苦労ですがテキストの美しさや情緒って話を忘れても印象深い組み合わせはいつまでも残るものなので、文章を作る人はそういうところを丁寧に組む癖をつけておくと後々自分の創作の力になるかなと考えたりもしました しみじみしじみ