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中大兄ショータ

中大兄ショータ

題名『ドランブイ』(2)

田中は興味津々で佐藤を見つめた。

「伝説? 何か面白い話でもあるのか?」

佐藤は物語りの始まりに誘導するように言葉を選んだ。

「19世紀のフランス、ノルマンディー地方にひっそりと佇む修道院。そこで誕生したのが、ドランブイと呼ばれる秘密のリキュールです」

部屋の中にも伝説の雰囲気が漂い始めた。炎がゆらめき、影が物語を彩り出す。

「修道院の僧侶たちが、厳かな雰囲気の中でハーブやスパイスをブレンドし、その秘伝のレシピを守りながら製造したと言われています。そして、ある日、フランス王室に献上されることになったのです」

田中は興味津々で聞き入っていた。

「なるほど、それで王室に広まったのか」

佐藤は微笑みながら続けた。

「そうです。特に、フランス王ルイ14世の側近であるドミニク・ド・ラ・プレーニュ神父が、このリキュールを王に献上したと伝えられています。王の舌を魅了し、それ以降も王室で愛飲されるようになったのです」

田中はうなずきながら、しばらく黙ってドランブイを楽しんだ。その後、彼は深いため息をついた。

「佐藤、お前には感謝してもしきれない。これまで本当によくしてもらった」

佐藤は謙虚な態度で頭を下げた。

「先輩、こちらこそお世話になりました」

「あぁ、今日で俺はこの会社を去る。定年だ」

佐藤は沈んだ表情を浮かべた。

「先輩・・・」

「いいんだ。時が来たんだ。俺も新しい人生を始める覚悟だ」

静かな雰囲気の中で、上司と部下はドランブイの杯を交わした。それはドランブイの伝説を思わせた。二人の間には、歳月を経て築かれた深い信頼と友情が漂っていた。

#ショータ小説
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コメント

つぐみ

つぐみ

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男性同士の友情を語る時に「酒」というアイテムが入るとすごくロマンがあります。 特にこのドランブイは王と側近の関係や修道院の僧侶たちの逸話が重なり、長い年月と歴史を経て、伝説を携えて今ここにいる2人の男性を結びつけている。 痺れました。ほんと素敵な物語でした。 そしてショータさんの表現が洗練されていておしゃれで素晴らしいです。 この作品もまた温かな気持ちとロマンに満たされて、大満足です。 ありがとうございました! ごちそうさまでした。

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中大兄ショータ
中大兄ショータ
絶賛ありがとうございます🙇‍♂️ お酒シリーズはまだあるので、どこかで書いてみようと思います☺️ それとこの話は実話なのです。
1 GRAVITY
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