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らんま🌞



珠雅(しゅが)
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第1章:迷い込み
その夜、境界線は曖昧だった。午前三時、踏み外した足裏が触れたのはアスファルトではなく、粘りつくような古いタイルの冷気だった。視界を埋めるのは、異世界の深淵に沈んだ廃病院「灰白病棟」。振り向いても扉はない。ただ、カビと鉄錆の匂いが混じった重苦しい静寂が、肺の奥まで浸食してくる。
第2章:音の罠
暗闇の向こうから、聞き慣れた声が届く。数年前に亡くしたはずの母が、あるいは、かつて守れなかったはずの友が、ナースステーションの影で泣いている。
「痛いの、誰か……」
その声は慈悲を乞うているのではない。こちら側の理性を削り、共鳴させ、喉元まで「助け」の言葉を誘い出そうとする、狡猾な釣り針だ。
第3章:不可視の捕食者
廊下の隅で、空間が歪む。姿は見えない。しかし、確かに「それ」はそこにいる。物理的な質量を持たず、殺意という概念だけが服を着て歩いているような気配。こちらが一歩退けば、相手は音もなく二歩詰める。倒す手段はない。神への祈りも、鋼のナイフも、この世界の理(ことわり)の前では無意味な戯れに過ぎない。
第4章:禁忌の言葉
犠牲者は一瞬で理解する。この場所で最も「言ってはいけない言葉」を。
恐怖が閾値(しきいち)を超え、心臓が爆発しそうになったその時、喉の奥からせり上がる本能的な叫び。
「助け――」
その音節が空気を震わせた瞬間、空間が裏返る。怨霊は言葉を糧に実体化し、犠牲者の肉体を内側から貪り尽くす。助けを求めた口から、死が流れ込むのだ。
第5章:無音の籠城
残された唯一の抵抗は、沈黙。それもただの沈黙ではない。思考すらも石のように固め、一切の希望を、一切の救いを拒絶する「精神の死」だ。
背後で、かつての自分と同じように迷い込んだ誰かの悲鳴が聞こえる。それでも振り返ってはならない。一滴の同情が、一瞬の恐怖が、唇を割ればそこが終着駅となる。
第6章:永遠の回廊
脱出の出口はない。夜が明けることもない。
あるのは、永遠に続く冷たい廊下と、自分の足音だけだ。
いつか精神が摩耗し、沈黙という重荷に耐えられなくなるその日まで。
次にこの廃病院を訪れる「獲物」のために、自分もまた「声」の一部となって闇に溶けていく。
灰白病棟に、救いなどという不純物は存在しないのだから。
✧• ─────────── •✧
[完]


🍓ともすけ🐱


トモミ

空飛ぶ


ナオ
声でなくなりましたけど笑
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水無

しの

えと子

ぽたろ

風🍃

なちゅ

Akiバ|
でも財務省がこれにつけ込んで関税が15%だから消費税と相殺させるために15%に上げますって言いそうだよなぁ...

あるち

おさる

こうじ
競輪の買い方が
期待値史上主義 というか
⚪来る確率よりオッズついてる?
⚪この展開が妙味
⚪ここはオッズが、、
みたいになってたけど、
結果が伴ってないわけで
⚪コレが来る!
みたいな
勝負感?
少し拘ってみたい
投資家になりたいわけでなく、
車券師になりたいわけなので
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