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さ丸

さ丸

「意味のない時間」の本当の価値

私たちはいつからだろう。
時間には“意味”がなければいけないと思うようになった。

役に立つこと。
成果につながること。
成長につながること。

そうでなければ、時間は「無駄」だと感じてしまう。

でも本当は――
意味のない時間こそ、人が人でいるための場所だ。



■ 意味がある時間は、常に外を向いている

意味のある時間とは、
誰かの期待や、未来の結果に向かって使われる時間だ。

仕事、勉強、発信、努力。
どれも必要だし、尊い。

けれどそれらはすべて、
「まだ来ていない何か」のために生きている状態でもある。

そこでは、
“いまここ”は通過点になる。



■ 意味のない時間は「今」に戻る場所

意味のない時間とは、
目的も成果も持たない時間。

・ぼんやり窓の外を見る
・意味もなく歩く
・何も考えずにお茶を飲む

その瞬間、
人はようやく「今」に戻ってくる。

このとき、
評価も比較も未来も消える。

残るのは、
呼吸している感覚と、身体の重さだけ。

それは怠けではない。
存在そのものに戻る行為だ。



■ なぜ意味のない時間が怖いのか

それは、
「何者でもない自分」に触れるから。

役割がなく
成果もなく
説明もできない自分。

でもその状態こそが、
本来の人間の姿でもある。

社会はそこを怖がる。
なぜなら、管理できないから。

だから「生産性」や「効率」という言葉で、
その時間を遠ざけてきた。



■ それでも、意味のない時間は必要だ

意味を手放すと、
感覚が戻ってくる。

感覚が戻ると、
自分が何を大事にしているかが見えてくる。

そしてそれは、
どんな目標よりも確かな指針になる。



■ 結びに

意味のない時間は、
無駄ではない。

それは、
「意味に回収されない自分」を守るための場所。

そこに戻れる人は、
世界の速度に飲み込まれない。

そしてまた、
ちゃんと前に進める。

それが、
“なにもしない時間”が持つ、ほんとうの力だ。
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